2019年7月21日日曜日

東海第二原発 避難計画に実効性なし

 東京新聞が、参院選と関連して東海第二原発の避難計画を取り上げました。
 30キロ圏内に94万人が居住する東海第二原発では、事故時の迅速な避難が可能なのかどうか、道路の渋滞はどの程度なのかが最大の課題となります。
 中でもバスで避難する人たちがどれ位いて必要な台数はどうなのか、事故時に本当に確保できるのかは、全原発で共通する最大の問題です。
 
 取り分け東海第二原発では必要なバスの台数は約3,200台で、茨城県に登録されている台数を超えます。避難計画は「机上ですら破綻している」ということです
 これは台数だけの問題ではありません。仮に台数が百台であればバスの手当て自体は可能ですが、それに見合う運転手を確保できるかは全く別問題で、10人も確保できないのではないでしょうか。
 それを漫然と500台が必要とか1,000台が必要として済ませているのでは、計画とは呼べません。
 自衛隊に依頼するというのも大災害時には無理があります。
 
 避難計画における「バスの問題」を初めて東京新聞が本格的に取り上げました。
 実効性のない避難計画を作り上げて済ませるのは勿論間違いで、「実行可能な避難計画が立たない以上稼働はさせられない」という正論の立場に戻るべきです。
 
 なお、このシリーズの(上)と(中)は下記の通りで、原発とは無関係です。
 
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<参院選 問う@いばらき>(下)東海第二原発 実効性欠く避難計画
東京新聞 2019年7月19日
 強い風雨に見舞われる中、ジャージー姿の東海村立村松小の六年生約四十人が、校舎近くに停車した大型バスに次々と乗り込んだ。
 学校から北東に二キロほどの日本原子力発電(原電)東海第二原発で放射能が漏れる深刻な事故が起きたことを想定する避難訓練が六月二十四日にあり、子どもたちは、八十キロ離れた避難先のつくばみらい市に約一時間半かけて移動した。
 
 避難先で、子どもを保護者に引き渡す訓練で、マイカーで長男を迎えに来た母親の広木愛乃さんは「初めて来る場所で戸惑いが大きかった」。ほかに小学生の子ども二人がいることから、「万が一、子どもたちが別々の場所に避難することになったらどうすればいいのか」と疑問を口にした。別の保護者も「渋滞でたどり着けるか不安だ」と漏らしていた。
 
 避難計画策定が義務付けられている三十キロ圏十四市町村には全国最多の九十四万人が暮らし、住民がスムーズに避難することは極めて難しい。これまでに策定したのは笠間、常陸太田、常陸大宮の三市だが、計画で複合災害を想定していないなど、実効性が置き去りのままになっている。
 
 一人で避難できない高齢者や障害者ら要支援者らが避難するためのバスの確保も大きな課題だ。
 県の試算では、三十キロ圏でバス約三千二百台を必要とする。だがこの数字は、村が以前実施した住民アンケートで、「村民の14%がバスを必要」というデータを基にしたもので、他自治体の実態に合わない可能性もある。
 日立市の場合、県の想定で計算すると、六百台程度が必要とみられる。だが実際、市が六月に公表した住民アンケートの結果では、「市民の17%がバスを必要」として約九百台とはじき出し、大幅に上回った。
 仮に「三千二百台」だとしても、県バス協会に登録される三千二十八台(六月十四日現在)を全て使っても足りず、机上ですら破綻。県の担当者は「現在も、協会と調整中」と説明し、確保のめどが立たない。万一の時は、自衛隊に頼むことも視野に入れるが、大地震などが同時にあれば、自衛隊が他の活動に追われ、避難の支援に人を割けるか分からない。
 
 東海第二を巡っては昨年、原子力規制委員会の主要審査が終わり、原電が事故対策工事を完了する予定の二〇二一年三月以降、再稼働の現実味が帯びる。
 実効性ある避難計画を作ることは困難な上、ひとたび事故が起きれば取り返しがつかない原発に、住民の不信は根強い。
 そんな状況で、あえて再稼働させる必要があるのか 。参院選で当選した候補者は、現場の声をくみ取り、原発の存廃を含め国のエネルギー政策に反映させていく必要がある。(山下葉月)