福島県が国家公務員宿舎に居続ける自主避難者63世帯に、4月分の損害金として2万円~15万円の請求書を送ったことに対して、内堀雅雄知事は16日の定例記者会見で、請求は避難者との契約に基づいて実施したとの考えを示しました。
2年前の契約に基づいてといっても、2年前にそれなら入居しないという選択肢はなかったのですから、契約書を盾に取るのは酷な話です。もともと年間20ミリシーベルト以下なら居住できる筈ということで、それ以下で避難した人たちを「自主避難者」として事ごとに差別してきた上でのこの仕打ちです。
この犯罪的な定義は国が決めたもので、もともと国策として原発の建設を進めてきたのですから、この非人道的な対応を見て見ぬふりをしている政府は知事以上に罪が深いと言えます。
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<福島第1原発事故>
公務員宿舎未退居の自主避難者に2倍家賃 知事「契約に基づく」
河北新報 2019年7月17日
国家公務員宿舎に居続ける東京電力福島第1原発事故の自主避難者に、福島県が損害金の支払いを求める請求書を送付した問題で、内堀雅雄知事は16日の定例記者会見で、請求は避難者との契約に基づいて実施したとの考えを示した。
内堀知事は宿舎の入居に関し「2年間の経過措置として貸し付けた」と強調。3月に措置期限を迎えたことを踏まえ「契約に基づき4月分の請求を行った」と述べた。生活保護受給世帯には請求しない措置を講じたことも説明し「今後も未退居世帯には丁寧な対応をとる」と語った。
県は自主避難者への住宅無償提供を2017年3月末で打ち切り、宿舎入居世帯には一定の家賃支払いを条件に2年間の延長を認めた。19年4月以降は、退居まで家賃の2倍の損害金を支払う契約になっている。
県は9日、5都府県の宿舎に残った63世帯に2万~15万円の損害金の請求書を送った。
自主避難者への請求撤回求める
NHK 福島NEWS WEB 2019年7月12日
原発事故に伴い、県外の国家公務員宿舎に自主的に避難した人のうち、契約期間が終わったあとも退居しなかった世帯に対して、福島県は家賃の2倍にあたる損害金を求める請求書を送付しました。これを受けて自主避難者でつくる団体は12日、県に請求書の撤回を求める申し入れをしました。
原発事故に伴い、自主的な判断で県外に避難した人に対して、県は平成29年度以降、国から国家公務員宿舎を借り上げて公務員と同額の家賃で提供していましたが、その支援はことし3月末に終了しました。
県によりますと、支援が終了することし3月末までに退居しなかった世帯に対して、事前の契約に基づいて、それまでの家賃と駐車場代の2倍にあたる損害金を求める請求書を今月9日に送付したということです。
対象は東京、埼玉、神奈川、茨城、それに京都のあわせて63世帯で、1世帯あたりの請求額はおよそ2万円から15万円だということです。
これに対し、自主避難者でつくる「原発事故被害者団体連絡会」のメンバーが福島市を訪れ、経済的な理由や病気で転居できない世帯があるなどとして、請求書の撤回を求める抗議声明や1万人あまりの署名を県の担当者に提出しました。
受け取った県生活拠点課の菅野裕之主幹は、「避難者の方とお会いして状況などを聞き、新たな住まいが見つかるような支援をこれからも続けていきたい」と話していました。
ただ、請求書の撤回は考えていないとしています。