スーパー待ってた 福島・浪江に「イオン」開店 住民の帰還後押し
河北新報 2019年7月15日
福島県浪江町で14日、スーパー「イオン浪江店」がオープンした。東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が2017年春に一部で解除されてから、生鮮食料品や日用品を扱うスーパーが町内に開店したのは初めて。帰還した住民らが訪れ、地元の請戸漁港に揚がった鮮魚を手にした。
セレモニーで内堀雅雄知事は「住民の帰還促進への力強い後押し」、吉田数博町長は「『町のこし』の最大の課題が解消された」と祝った。
開店の午前9時、列を成した約300人が入店。復興が進む請戸漁港を中心に試験操業で揚がったカレイやホッキ貝の特売コーナーがにぎわった。震災前は地元にあった蔵元の清酒を取りそろえ、ドラッグストアも入った。
新潟県など9カ所に避難先を転々とし、17年秋に町に戻った主婦長谷川ツル子さん(78)は「(車で40分ほどかかる)南相馬市原町区まで買い物に行っていたので便利。きょうはタコを刺し身にする」と話した。
店舗は売り場面積約880平方メートルとイオンでは小型。棚をやや高くし、商品1万2000点を収めた。復興工事従事者の来店を見越して弁当やアルコール類を充実させ、平日と土曜は午前6時に開店する。日曜と祝日は午前9時開店で、閉店はいずれも午後8時。
6月末現在、町内に居住登録しているのは1057人で、震災前(約2万1400人)の約5%にとどまる。出店は町側の要請に応えたもので、町は家賃などを支援。運営のイオンリテールは1日当たり1000~1500人、年間45万人の利用を見込んでいる。