福島原発事故後、論文に住民の個人被ばく線量が本人の同意がないまま使用され、被爆線量を過小評価するミスがあった問題で、東京大学の調査委員会は、精査不足はあるが不正行為には当たらないとする調査結果を公表しました。
ミスの詳細は不明ですが、一部の計算を失念した結果被爆量が実際の1/3に評価されたとは専門家にあるまじきことです。原発推進派と目される学者であればなおさら「不注意では済まされない」という疑惑が深まります。
高エネルギー加速器研究機構の黒川眞一名誉教授は「データの解析方法や掲載されたグラフについて意図的な改ざんやねつ造が行われている可能性が高い。研究者として許されるものではなく強い憤りを感じる」と批判しました。
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原発事故 被ばく量ねつ造疑い指摘の論文「不正はない」調査委
NHK NEWS WEB 2019年7月19日
原発事故に伴う福島県伊達市の住民の被ばく量について東京大学などがまとめた論文に、ねつ造の疑いなどがあると福島県の住民が申し立てていた問題で、東京大学の調査委員会は、精査不足はあるが不正行為には当たらないとする調査結果を公表しました。
東京大学の早野龍五名誉教授らは、東京電力福島第一原発の事故に伴う福島県伊達市の住民の被ばく量を推定した論文を3年前とおととし発表しましたが、被ばく量を過小評価するねつ造が疑われるほか、住民のデータのおよそ半数が、同意を得ないまま使われ、研究倫理違反があるとして、福島県伊達市の住民が東京大学に調査を求めていました。
東京大学は調査結果を公表し、一部の計算を失念していることが確認されるなど、精査不足があり軽率なものであったが故意とは認められず、不正行為に当たらないとしています。
一方、研究倫理に違反しているとした指摘については、委員会の調査の範囲外で判断しないとしています。
早野名誉教授は「不正行為でないと認められ、安心した。ただ、重大な誤りをしたことは事実で、住民の方々に申し訳ないと思っている。伊達市から再びデータの提供を受けることができれば解析をやり直して論文を訂正したい」と話しています。
「意図的な改ざんの可能性高い」不正申し立て支援の専門家
研究不正の申し立てを行った伊達市の市民団体を支援する高エネルギー加速器研究機構の黒川眞一名誉教授は「データの解析方法や掲載されたグラフについて意図的な改ざんやねつ造が行われている可能性が高い。研究者として許されるものではなく強い憤りを感じる」と今回の調査結果を批判しました。