2018年3月29日木曜日

消音器の詰まり原因か 第一原発水素爆発

 福島事故対策検討会と京都大の研究チームは福島原発1、3、4各号機の原子炉建屋で起きた水素爆発について、原子炉格納容器内のガスを排出する際、配管出口の消音器に炉心溶融で発生した粉じんが詰まったのが原因とする検証結果をまとめました。それによって水素ガスが外部に排出されず建屋内に充満し爆発したとしています
 7年目の新しい知見ですが、単純な内容なのでなぜ東電がもっと早く把握できなかったのか不思議です。いずれにしても直ちに新規のフィルター付きベントに反映させるべきです。

 また、これはトーラス=サプレッションチャンバーで、ダストを除去できなかったことを示すもので、チャンバー内が空になっていたか沸騰状態であったため、ダストを水サイドに取り込むスクラビング効果が発揮されなかったということです。
 これはまたサプレッションチャンバーで放射能が除去されなかった筈だとするアーニー・ガンダ―センの主張を裏付けるものです

 サプレッションチャンバーで99%の放射能が除去されるという仮定が崩れた以上、放射能の排出量は政府発表の約100倍ということになります。

お知らせ
都合により30日の記事の更新は午後からになります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
消音器の詰まり原因か 第一原発水素爆発
福島民報 2018年3月28日
 原子力関係の有識者らでつくる福島事故対策検討会と京都大の研究チームは東京電力福島第一原発1、3、4各号機の原子炉建屋で起きた水素爆発について、原子炉格納容器内のガスを排出(ベント)する際、配管出口の消音器(サイレンサー)に炉心溶融で発生した粉じんや氷が詰まったのが原因とする検証結果をまとめた。ガスが外部に十分に排出されず建屋内に充満し、爆発したとしている。

 27日に大阪府の大阪大で開かれた日本原子力学会春の大会で示した。研究チームは事故当時、1~3号機格納容器内は溶融燃料により内部構造物が溶け落ちて、発生した粉じんと、水素を含んだ水蒸気が充満していたとみている。ベントによってガスは配管を通り排気筒から排出されるはずだったが、サイレンサーが大量の粉じんでふさがれ、別の配管から建屋内に逆流したと指摘。さらに、ガス内の水蒸気がサイレンサーの到達時に気圧の変化で凍結し、目詰まりしたとしている。

 研究チームは2011(平成23)年8月に1、2号機原子炉建屋の間にある排気筒周辺の配管付近で、毎時10シーベルト超の高線量が確認された経緯などを踏まえ、粉じんや高線量の氷が発生したと分析した。
 1、2号機と3、4号機は2機で一つの排気筒を使用しており、ベント用配管は排気筒の直前で合流している。東電は2011年3月12日に1号機のベントを実施した。2号機では同13、15の両日にベントを行ったが事実上、失敗に終わった。研究チームは先に実施した1号機のベントでサイレンサーが目詰まりした影響により、2号機で成功しなかったとみている。

 研究チームは、サイレンサーが多くの原発で採用されているとした上で「重大事故に備え、対応策の検討が必要だ」と訴えた。