再稼働 募る避難の不安 「国と九電は支援の保障を」 /長崎
毎日新聞 2018年3月24日
九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働を受け、同原発から30キロ圏に入る県内の住民らは事故への不安を募らせている。再稼働優先の国や九電への不満の声も相次いだ。
平戸市大久保町の障害者支援施設「平戸祐生園」。佐藤慎一郎園長(60)は「エネルギー政策上、再稼働がやむを得ないのならば、入所者の命を守るため、国や九電は支援を保障してほしい」と訴えた。
祐生園のある平戸島と本土を結ぶ橋は1本しかなく、原発事故時に渋滞も懸念される。さらには入所者47人中9人が車椅子を使っているのに、車椅子ごと入所者を運べる車は1台だけ。佐藤園長は「人の確保も、移動手段の調達も、避難後の生活も、再稼働を認めた国が説明すべきなのに果たしていない」と嘆く。
原発から最短8・3キロに位置する松浦市・鷹島の新松浦漁協の志水正司組合長(70)は「避難したら漁民は生活の場を失って飯が食えなくなるが、誰が補償するのか」と憤る。4人が暮らす市高齢者生活福祉センター「水仙苑」は一時避難施設に指定され、放射性物質を防ぐために気密性を高めているにも関わらず、雨漏りに悩まされている。運営する市社会福祉協議会鷹島支所の西〓(にしかおる)支所長(51)は「屋内退避の準備も出来ていないので、事故が起きないことを祈るしかない」と九電優先のスケジュールを批判した。【峰下喜之】