2018年3月17日土曜日

17- 被爆者井原さんがチェルノブイリで講演へ

「原爆も原発も負の遺産」 4月26日・チェルノブイリ事故32年 
      被爆者井原さんが現地で講演へ
西日本新聞 2018年03月17日
 長崎市の被爆者団体「長崎県被爆者手帳友の会」会長の井原東洋一(とよかず)さん(82)が、チェルノブイリ原発事故から4月26日で32年になるのに合わせ、原発があるウクライナと放射性物質に汚染された隣国ベラルーシを訪れ、講演する。「原発も原爆も核の被害では同じ」と訴え、核廃絶に向け連携を呼び掛けるつもりだ。
 
 16日、井原さんが記者会見して発表した。ウクライナで被災者を支援する非営利組織などが「長崎の被爆者と交流したい」と、海外での講演経験が多い井原さんを招待。4月24日から5月3日まで滞在し、住民が強制的に移住させられたウクライナの町スラブチチなどで講演するほか、同原発の元作業員や被災者とも意見交換する予定。
 
 長崎市在住の井原さんは9歳の時、爆心地から6・5キロで被爆。母親ら家族3人を原爆症とみられる病気で失い、自身も血小板が基準値より少ない症状が続く。「被爆者は風評被害や差別で肉体的、精神的に苦しんできたが、それは原発事故の被災者も同じ」。チェルノブイリと同じレベルの福島第1原発事故で故郷を追われた避難住民と交流を続け、感じたという。
 九州電力に定年退職まで42年間勤め、組合活動に携わって原発には反対してきた。1986年4月のチェルノブイリ原発事故の際は「まさか日本では起こるまいと思った」が、福島第1原発事故で「自分も原発の安全神話に毒されていたと気づいた」と振り返る。
 
 チェルノブイリも福島も事故の処理は終わっていない。九電の玄海原発は近く再稼働が見込まれ、ウクライナでは他の原発が稼働、ベラルーシでも建設が進む。「原発事故と原爆はどちらも人々を長期間苦しめる負の遺産。人類と核は共存できない」。現地で訴えたいメッセージだ。