柏崎刈羽原発 避難委が初視察「住民安全、確証得られず」/新潟
毎日新聞 2018年3月30日
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を県が判断する前提となる三つの検証委員会のうち、避難方法を検証する「避難委員会」の全メンバー9人が29日、同原発などを視察した。避難委が同原発を訪れるのは初。視察後開かれた委員会では「住民が安全に避難できる確証は得られなかった」などの意見が出された。【内藤陽】
メンバーは原発構内で、高台に分散配備された消防車や電源車▽地盤の液状化で損傷の恐れがある荒浜側の防潮堤▽6号機のフィルター付きベント--を視察。免震重要棟にも足を運び、東電社員から事故時の初動態勢などについて説明を受けた。さらに立地自治体や関係機関との直通電話のある「ホットライン室」や、緊急時に衛星回線で周辺自治体に情報提供するための通信機器類を確認した。
このほか、原発事故時の主要な避難経路となる高速道や国道▽同原発から半径5キロ圏の即時避難区域(PAZ)にある柏崎市内の特別養護老人ホーム--などを見て回った。
その後、同市内で開かれた委員会では、メンバーから「東電は事故時に周辺市町村に職員を派遣するというが、市町村は情報をきちんと受け取ってそれを生かせるのか」「救助する側は施設などに屋内退避した人をどうやって把握するのか」など情報共有への疑問が相次いだ。委員長の関谷直也・東京大大学院特任准教授は「今後、市町村や住民の意見を何らかの形で聞く必要がある」と述べた。