原子力学会はいわば原子力ムラの学術的中枢ですが、今後30年以内に取り組むべきこととして、高速炉サイクルがウラン資源の利用率拡大や放射性廃棄物減容などの達成につながるため、2050年代に実用化すべきとする提言をまとめました。
いわゆる高速炉=高速増殖炉は、その技術的困難さから欧米の先進国:独・米・英・仏はいずれも1990年代に撤退したものですが、日本だけは1995年にもんじゅがナトリウム漏洩事故を起こしてから20年余り停止したまま、その維持費に何と55500万円/日も掛けるという大散財をして来ました。
それが批判の的となり、運営企業のだらしなさも槍玉に上げられてようやく去年廃炉が決まりました。
それが今回意義のある技術だとして平然とその復活を求めてきたもので、一体これまでの経過をどう見ているのか、その精神は理解の埒外です。
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原子力学会、2050年の実用化見据え提言/高速炉、未来に備えを
電気新聞 2018年3月26日
日本原子力学会(会長=上坂充・東京大学大学院教授)は23日、高速炉開発の方向性に関する提言をまとめ、公表した。100年後の姿からさかのぼって考える長期的視点と、今後30年以内に取り組むべきことをまとめた短期的視点を提示。長期的視点では2050年代の実用化を見据えた技術基盤整備、短期的視点では先行炉の知見があるうちに技術発展や人材育成を進めるべきとした。
提言では、高速炉サイクルがウラン資源の利用率拡大や放射性廃棄物減容などの達成につながるため、今後も開発意義が変わることはないと強調した。エネルギー自給率を現在の7%から大きく改善できる点も、高速炉サイクル導入の意義として主張している。