震災前は県外出荷量日本一だった福島県のシイタケ栽培用原木の出荷量が、24年度は事故前の6%に落ち込みました。福島県は原木の産地復活を目指して、原木の全量放射性物質検査に乗り出すことにし、9月の補正予算案に全量検査に必要な検査機器の改良など関連予算約4550万円を計上しました。
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25日、小渕経産相は視察先の田村市で、福島県や県議会が全基廃炉を求めている東京電力福島第2原発1~4号機について、「再稼働は大変難しい」と述べ、県民感情を考慮して再稼働は困難との認識を示しました。
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日本学術会議は25日、原発事故に伴う避難について、長期にわたり避難した後に帰還する「長期待避」を「第3の道」と位置付け、住民票の二重登録の実現や、復興事業や健康管理などの対象者を定める被災者手帳の配布、セカンドタウン(町外コミュニティー、仮の町)の再検討、小中学校・高校の維持などを求める提言を公表しました。
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福島県の避難区域などに店舗や工場などがあった2762事業所のうち、避難前の地元で事業を再開したのは7月20日現在で455社、16.5%にとどまることが分かりました。事故から3年半が過ぎ、避難先で事業を再開する事業者が新たな顧客を獲得するなど、帰還の利点が薄まり、地元再開を志向する経営者の意識は弱まっています。
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シイタケ原木を全量検査 県、林業再生目指す
福島民報2014年9月26日
東京電力福島第一原発事故からの本県林業の再生に向け、県はシイタケ栽培に用いる原木の全量放射性物質検査に乗り出す。出荷前の全量検査はコメ、あんぽ柿に続く措置。まず会津地方で検査体制を構築する。平成27年度内に、細かく砕かなくても濃度を計測できる非破壊式検査機器を導入し来秋の伐採期の本格稼働を目指す。将来的には全県に拡大する。安全性を確保した上で流通させる。震災前は県外出荷量日本一だった県産原木の産地復活を目指す。
25日の9月定例県議会農林水産常任委で県が示した。県内の広葉樹林は国内有数の原木生産地で、原発事故前の平成22年は、約500万本を生産し、300万本近い原木を県外に販売していた。全長約90センチの原木は1本当たり200円前後で取引され、年間約10億円の産業を形成していた。
原発事故発生後、多くの産地で原木の放射性セシウムが林野庁の指標値(1キロ当たり50ベクレル)を超えた。24年の生産量は約30万本で原発事故前のわずか6%にとどまる。
県は空間放射線量の比較的低い会津地方全域で原木となるナラなどの放射性物質検査を実施し、数千万本が供給可能と分かった。早期の林業再生に向け、安全性を確保し流通させる必要があるとして全量検査に踏み切る。9月補正予算案に検査機器の改良など関連予算約4550万円を計上した。
現在のゲルマニウム半導体検出器を用いると原木を砕く手間がかかる上、測定に数十分を要する。これまでに開発された非破壊式検査機器では3分~5分はかかり、時間の短縮と精度の向上が求められていた。全量検査に導入される改良型は1本当たり30秒程度で測定が可能。現場の負担が軽減される。
伐採期の11月から約5カ月間で検査機器1台当たり最大9万本を測定できる見込み。原木を供給する事業者や森林組合などに配備する方向で検討する。
一方、原木の放射性物質低減にも力を入れる。県は高圧洗浄で放射性物質を低減させる「ウェットブラスト」を開発済みで、1キロ当たり200ベクレル以下の原木であれば8割弱を50ベクレル以下にできるという。県は原木の高圧洗浄と全量検査で安全性をより高める考えで、県林業振興課は「日本一良質な原木産地を取り戻す」としている。
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県内産原木の流通量が減ったため、県内の原木シイタケ農家は苦しい経営を強いられている。県外産は2倍近い高値で取引され、経費が増大するためだ。
農家数は22年末に443人だったが、昨年末時点では78人と2割弱にまで激減している。
※シイタケやナメコの原木の指標値 林野庁は東京電力福島第一原発事故を受け平成23年8月、放射性物質が付着している可能性があるとして原木の出荷自粛を要請した。同10月には原木に含まれる放射性セシウムの暫定指標値を1キロ当たり150ベクレルに設定し、基準を下回れば出荷可能とした。24年4月からは原木の指標値を同50ベクレルに厳格化している。
第2原発再稼働「困難」 小渕経産相、県民感情に配慮
福島民友ニュース 2014年9月26日
25日に来県した小渕優子経済産業相は、県や県議会が全基廃炉を求めている東京電力福島第2原発1~4号機について「再稼働は大変難しいものがある」と述べ、県民感情を考慮して再稼働は困難との認識を示した。
小渕氏は視察先の田村市で報道陣に「廃炉を決定するのはあくまで事業者」と従来の政府見解を繰り返しながらも「福島の皆さんの気持ちを考えると、原子力規制委員会に(再稼働への審査を)申請している(全国の)他の原発とは大きく状況が違う」と説明した。
福島第2原発については茂木敏充前経産相も「他の原発と同列に扱えない」との認識を示し、小渕氏もその立場を踏襲した形だ。
視察に先立ち小渕氏は県庁で佐藤雄平知事と会談。佐藤知事は福島第2原発に関し「政治主導で廃炉を決めてほしい」と訴え、東電に委ねずに政府が決断するよう求めた。福島第1原発のトラブル防止と、浜通りの産業復興の柱となる「福島・国際研究産業都市構想」の着実な実行も要望した。
小渕氏は「廃炉・汚染水対策は政府が前面に立って何が何でもやり遂げるという強い覚悟だ」と約束した。
「長期避難者向け支援を」 日本学術会議が提言
福島民友ニュース 2014年9月26日
日本学術会議は25日、福島第1原発事故に伴う避難について、早期の帰還や移住とは別に、長期にわたり避難した後に帰還する「長期待避」を「第3の道」と位置付け、二重の住民登録など長期待避を選択した避難者への支援を求める内容を盛り込んだ提言を公表した。
提言では、現状の政策に沿った早期帰還を「第1の道」、避難者が自力で行う移住を「第2の道」とし、元の自治体のコミュニティーを維持しながら、住民が安心して帰還できるまで長期に避難を続ける「長期待避・将来帰還」を第3の道と位置付けた。避難が5年以上の場合を「長期待避」、30年以上の場合を「超長期待避」と定義した。
長期待避を行う避難者のために必要な政策として、住民票の二重登録の実現や、復興事業や健康管理などの対象者を定める被災者手帳の配布、セカンドタウン(町外コミュニティー、仮の町)の再検討、小中学校・高校の維持などが必要だと指摘した。
地元で事業再開16.5% 避難区域など、帰還の利点薄まる
福島民友ニュース 2014年9月26日
原発事故による避難区域などに店舗や工場などがある2762事業所のうち、避難前の地元で事業再開したのは7月20日現在で455社、16.5%にとどまることが25日、県商工会連合会と県の調べで分かった。地元以外を含め県内で再開したのは53.9%と、昨年10月20日時点からわずかに増えた。ただ事故から3年半が過ぎ、避難先で事業を再開する事業者が新たな顧客を獲得するなど帰還の利点が薄まり、地元再開を志向する経営者の意識が低迷している。
小渕優子経済産業相は同日、避難指示が4月に解除された田村市都路町の公設商業施設を視察し、住民帰還には働く場の確保が必要として、区域内の事業所再開などを支援する方針を示した。具体的には、企業立地補助金などによる支援を継続する考え。