2014年9月10日水曜日

原発周辺3分の2以上の自治体 再稼働に慎重姿勢

 NHKが先月行った、原発30キロ圏内にある146の自治体を対象にしたアンケートで、自治体の3分の2以上が新規制基準を満たした場合でも「今は判断できない」と慎重な姿勢を示していることが分かりました。
 
 新規制基準に適合した原発の再稼動を、「認める」「いずれは認めたい」12%、「当面、認めない」「今後、一切認めない」8%、「今は判断できない」67%でした。
 「認めない」「今は判断できない」と答えた理由は、「審査が継続中」30%、「政府の対応がこれからだから」25%、「住民の理解が不十分」23%でした。(複数回答)
 
 また、原発の再稼働にあたって地元に同意を求める仕組みが必要」は42%、「現状のままでよい」9%でした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3分の2以上の自治体 再稼働に慎重姿勢 
NHK NEWS WEB 2014年9月8日
原子力発電所の再稼働について、半径30キロ圏内の自治体の3分の2以上が、新しい規制基準を満たした場合でも「今は判断できない」と慎重な姿勢を示していることが、NHKが行ったアンケート調査で分かりました。
国の対応や住民の理解が不足していることを理由に挙げる自治体が多く、専門家は「国が説明責任を果たし、自治体も住民の理解を確認する仕組みが必要だ」と指摘しています。
 
NHKは先月、原発の半径30キロ圏内にある道府県と市町村、合わせて146の自治体を対象にアンケートを行い、すべてから回答を得ました。
 
「近くの原発について新しい規制基準に適合したと原子力規制委員会が判断した場合、再稼働を認めるか」尋ねたところ、▽「認める」または「いずれは認めたい」と答えた自治体は12%、▽「当面、認めない」または「今後、一切認めない」は8%で、▽「今は判断できない」と答えた自治体が全体の3分の2以上に当たる67%に上りました。
 
これを原発がある「立地市町村」とその周辺の「周辺市町村」で比較しますと、「認める」または「いずれ認める」が、立地市町村では44%だったのに対し、周辺市町村では8%にとどまり、周辺市町村がより慎重であることがうかがえました。
「認めない」や「今は判断できない」と答えた理由については、複数回答で、「規制委員会の審査が継続中」と答えた自治体が最も多い全体の30%で、「政府の対応がこれからだから」が25%、「住民の理解が不十分」が23%と続きました。
 
また、原発の再稼働にあたって、現在、法的には地元の同意は必要とされていないことについて聞いたところ、42%の自治体が「国が地元に同意を求める仕組みが必要だ」と答えたのに対し、「現状のままでよい」は9%でした。
さらに、「再稼働にはどの範囲の市町村の同意が必要か」という質問に対しては、▽立地市町村では、「立地市町村」という答えがちょうど半数を占めましたが、▽周辺市町村の間では、「30キロ圏内の市町村」という答えが36%と、「立地市町村」という回答の3倍以上に上り、立地か周辺かによって回答の傾向に違いが出ました。
 
こうした結果について、行政学が専門の東京大学公共政策大学院の城山英明教授は「これまでは立地自治体と電力会社だけの関係で考えてきたが、今回の事故を受けて、周辺自治体がどう関与していくのか真剣に考えなければならなくなったことを示している。国が前面に出て安全性や防災対策などについて説明責任を果たし、自治体の側も住民の理解を確認したうえで、国がきちんと対応しないと再稼働は認められないと言える仕組みを作ることが重要だ」と指摘しています。