朝日新聞 2014年9月10日
鹿児島県は、九州電力川内原発(同県薩摩川内市)で重大事故があった際の住民の避難先をデータベース化し、観測された放射線量や風向きに応じて避難先を選ぶ仕組みを来月にも整える。伊藤祐一郎知事が9日の県議会で明らかにした。原発から30キロ圏の9市町にすでにある避難計画に縛られず、柔軟に避難するのが狙い。原子力規制庁によると全国初の試みという。
30キロ圏内の9市町は、それぞれの避難計画で、30キロ以遠にある公共施設を避難先に指定。しかし、避難先が原発の風下の場合、避難中に被曝(ひばく)しかねないと指摘されていた。
県によると、計約1千カ所に及ぶ避難先リストを、収容人数や方角、原発からの距離などの情報も含めてデータベース化。事故の際には、原発周辺の67カ所に設けたモニタリングポストで測定した放射線量や風向きから、原発の風下にならない避難先の候補を割り出す。ただ、具体的な避難ルートは示さない。