2014年9月21日日曜日

玄海 MOX差し止め結審|玄海 ヨウ素剤28日配布|学術会議が提言

 19日、玄海原発3号機のプルサーマル燃料装填に反対する市民130人が、九電に対しMOX燃料の使用差し止めを求めている訴訟結審しました。ウラン燃料よりMOXの危険性が高いことが明確に示されれば、全国のプルサーマル運転に影響を及ぼすことになります。
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 佐賀県は、玄海原発5キロ圏内の住民を対象に、原発事故時に甲状腺被ばくを軽減する安定ヨウ素剤の事前配布を28日から始めます。3歳以上の住民8000人余が対象で、地区ごとに順次説明会を開き年内に配布を終える予定です。5~30キロ圏内の住民は、公民館などの避難する際の集合場所に備蓄したヨウ素剤を配布する計画になっています
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 日本学術会議は19日、福島原発事故後の対応についての提言を公表しました。
 ①新たに追加された情報に基づき、事故当時の放射性物質の放出状況や初期被ばくの状況を再度検討し、結果を県民の健康調査などに反映させるべきこと ②政府や研究機関は事故直後の放射性物質の拡散など情報を直ちに公開すべきこと ③福島県民健康調査は調査体制の在り方調査結果の伝え方などについて、住民との対話を踏まえながら不断の改善を図るべきこと ④避難者の帰還の判断や除染の目標値をめぐっては、科学者集団が地域の決定、住民の選択を支援すべきこと などで、いずれも重要な指摘です。
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玄海原発 MOX燃料訴訟結審 来年3月20日に判決
佐賀新聞 2014年09月20日
 玄海原発(東松浦郡玄海町)3号機のプルサーマルに反対する市民130人が、九州電力に対しプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の使用差し止めを求めている訴訟の第13回口頭弁論が19日、佐賀地裁(波多江真史裁判長)であり、双方が最終主張して結審した。判決期日は来年3月20日に決まった。
 
 原告側は最終準備書面で、MOX燃料は原発運転期間中に燃料と冷却水を通す被覆管との間に隙間が生じる「ギャップ再開」の可能性を指摘し、「燃料溶融など重大事故の恐れがある」と主張。使用済みMOX燃料の長期保存の可能性にも言及して「放射能漏えいによる環境汚染など深刻な事態をもたらす危険性もある」と訴えた。
 九電側は、玄海3号機で使用するMOX燃料はウラン燃料と同様の設計で、燃料棒内の内圧がギャップ再開を引き起こす基準に達していないと反論。「仮にギャップ再開が起きても、重大事故につながる危険性はない」とした。使用済みMOX燃料についても「安全に保管し、水の大量漏えいによる環境汚染の恐れはない」と主張した。
 原告弁護団の冠木克彦弁護士は会見で「ウランよりMOXの危険性が高いことが明確に示されれば、全国のプルサーマル運転に影響を及ぼす」と話した。九電の金田薫司地域共生本部事業法務グループ長は「安全性について十分に立証を尽くし、裁判所に理解してもらえたと確信している」と述べた。
 
 
ヨウ素剤28日から配布 玄海原発5キロ圏8400人対象
佐賀新聞 2014年09月20日
 佐賀県は、九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)から半径5キロ圏内の住民を対象に、事故発生時の甲状腺被ばくを軽減する安定ヨウ素剤の事前配布を28日から始める。医師が立ち会い、服用方法を説明した上で直接配る。対象は玄海町と唐津市の3歳以上の住民8367人(昨年12月現在)で、39地区ごとに順次、説明会を開き、年内に配布を終える。
 
 配布説明会では、医師がヨウ素剤の効果や服用方法のほか、副作用や管理方法を説明する。住民に事前配布した問診票を参考に、アレルギーの有無など医師が服用に問題がないかを判断する。本人が出席できない場合、家族が問診票を持参すれば受け取れる。
 説明会の日程が決まった唐津市の4地区は、28日午後2時から呼子町殿ノ浦西地区、10月6日午後7時から呼子町片島地区、7日午後6時から呼子町加部島地区、19日午前8時から肥前町京泊地区。他地区は地元調整がつき次第、開く。
 居住地区の説明会に参加できない住民や転入者を対象に説明会を開くことも検討している。ヨウ素剤の有効期間は3年間で更新が必要になる。
 5~30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)の住民は、公民館など避難する際の集合場所に備蓄したヨウ素剤を配布する計画になっている。
 
 
「初期被ばくの解明」提言 日本学術会議が公表
福島民友ニュース 2014年9月20日
 日本学術会議(大西隆会長)は19日、東京電力福島第1原発事故の発生当初のモニタリングデータなど、時間経過に伴い新たに明らかになった情報に基づき、事故に伴う初期被ばくの実態解明を目指すべきだとする内容を盛り込んだ提言を公表した。
 提言では、被ばくによる健康影響の解明などに向け、行政や科学者集団に望まれる役割を指摘している。放射性ヨウ素などによる事故直後の初期被ばくはいまだ不明な部分が多いが、提言は、昨年6月に米国エネルギー省の調査に基づくヨウ素線量マップが公開されたことなどを指摘。こうした新たに追加された情報に基づき、当時の放射性物質の放出状況や初期被ばくの状況を再度検討し、結果を県民の健康調査などに反映させるべきとした。
 また、事故直後の放射性物質の拡散などをめぐる情報がまだ十分公開されていないとして、政府や研究機関は関連する情報を直ちに公開すべきと訴えた。
 県民健康調査は続けるべきとしたが、調査体制の在り方、調査結果の伝え方などについて、住民との対話を踏まえながら不断の改善を図るべきだと指摘。避難者の帰還の判断や除染の目標値をめぐっては、科学者集団が地域の決定、住民の選択を支援すべきとした
 原子力規制委員会の下に府省横断的な学術調査・研究の組織を置き、科学者集団が科学的知見や助言を規制委に提供する仕組みを確立することも求めた