関西電力が、稼働から40年以上が経過している美浜原発1、2号機の廃炉を検討していることが分かりました。運転期間を40年以上に延長する場合、原子炉圧力容器などの劣化を詳細に調べる「特別点検」や大規模改修が必要で、再稼働への壁が非常に高くなるためです。
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大量の機器の点検漏れや書類のミスを、規制委から繰り返し指摘された高速増殖炉もんじゅは、結局機器の保全計画の見直しが間に合わず、再報告が10~11月になる見通しであることが分かりました。したがって運転禁止命令の解除時期は、当初目指していた9月末から大幅に遅れる見通しです。
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敦賀原発2号機の真下にある断層について、規制委員会は去年5月、「将来動く可能性がある」と判断したのに対し、日本原発は4日の会合で、12万年から13万年前以降、断層が活動した形跡はなく、2号機の真下にある断層が将来動く可能性はないと改めて反論しました。しかし専門家からは客観的なデータが不十分だとする意見が相次ぎ、次回の会合で規制委の考えが覆らなければ、敦賀原発2号機は再稼働できずに廃炉になる可能性があります。
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関電、美浜原発2基の廃炉検討 老朽化で再稼働に壁
東京新聞 2014年9月5日
関西電力が稼働から40年以上が経過している美浜原発1、2号機(福井県美浜町)の廃炉を検討していることが5日、関係者への取材で分かった。原子炉等規制法で原則40年と定められた運転期間を延長する場合、原子炉圧力容器などの劣化を詳細に調べる「特別点検」や大規模改修が必要で、再稼働への壁が非常に高くなっているためだ。
老朽化した原発を廃炉にすることで、比較的新しい原発を早期に再稼働する地ならしをしたい政府と電力会社の思惑も背景にある。
東京電力福島第1原発事故後、廃炉が決まったのは同原発1~6号機の6基。美浜の動きは、他の古い原発に影響しそうだ。(共同)
もんじゅ運転禁止の解除延期へ 機器保全計画の見直しに遅れ
福井新聞 2014年9月5日
原子力規制委員会から運転再開準備の禁止命令を受けている高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)に関し、日本原子力研究開発機構が進めている命令解除に必要な機器の保全計画見直しの再報告が10~11月になる見通しであることが4日、分かった。見直し作業に時間が掛かっているとみられ、原子力機構が設定する9月末までの集中改革期間内の命令解除は事実上不可能となり、改革期間が延びる公算となった。
禁止命令の解除時期をめぐっては、7月末にもんじゅ改革推進本部長の桜田義孝文部科学副大臣(当時)が福井県を訪れた際「困難な課題はあるが、あくまで9月末の解除を目指してやっていく考え方に変わりはない」と述べていた。
もんじゅは大量の機器の点検漏れ問題を受け昨年5月、規制委から運転再開準備の禁止を命じられた。原子力機構は命令解除条件である▽点検項目や頻度を定めた保全計画の見直し▽未点検機器の点検完了▽根本原因分析や組織改編を含めた保安規定の変更―を昨年12月までに規制委に提出。しかし3月の保安検査で規制委から「保守管理体制の再構築がいまだ途上」と判断されるなど、いずれも再提出を迫られた。
保全計画には約800件の誤記が見つかったほか、保安検査で指摘された一部機器の点検方法の不備などが5月に規制委から保安規定違反とされたため、原子力機構は保全計画の全面的な見直し作業に着手。全機器約4万7500点の点検記録や点検方法などを徹底的にチェックしてきた。
関係者によると、保全計画の見直し作業は膨大な量となり、集中改革期間内の9月末までに完了するのは困難という。原子力機構内では12月の保安検査前に提出し、同検査時に規制委に保全計画の内容を確認してもらいたい考えがあるとみられる。
原子力機構は命令解除に向け、保全計画見直しの報告とともに未点検機器の点検完了や、根本原因分析の見直しを踏まえた保安規定変更の申請を同時に規制委へ再提出する方針。
もんじゅの改革をめぐり、原子力機構は昨年10月から1年間を集中改革期間と位置付け、14項目の対策を盛り込んだ「もんじゅ改革基本計画」を同11月に策定。今年7月に開かれた改革の進ちょくを検証する第三者委員会では、保全計画見直しを含む保守管理体制の対策などについて「課題あり」と評価していた。
敦賀原発の断層「活動性がない」と反論
NHK NEWS WEB 2014年9月5日
福井県にある敦賀原子力発電所の真下にある断層が、「将来動く可能性がある」と原子力規制委員会で見解が示されていることを巡り、事業者の日本原子力発電は4日の専門家会合で追加調査で得られたデータを示し、「断層は活動性がない」と反論しましたが、専門家との議論は平行線をたどりました。専門家会合は次回、結論の取りまとめに入るとしています。
敦賀原発2号機の真下にある断層について、原子力規制委員会は去年5月、「将来動く可能性がある」と判断したのに対し、日本原子力発電は反論する追加調査の結果を示し、規制委員会の専門家会合で議論が続いています。
4日の会合で日本原電は、敷地内の地層ができた年代の追加の分析結果を示し、12万年から13万年前以降、断層が活動した形跡はなく、2号機の真下にある断層が将来動く可能性はないと改めて反論しました。
2号機の真下にある断層と敷地内の別の断層についても連動して動く可能性はないなどと説明しましたが、専門家からは客観的なデータが不十分だという意見が相次ぎ、予定を3時間近く超過して行われた議論は平行線をたどりました。規制委員会の島崎邦彦委員は、これまでの議論を踏まえて次回の会合で結論に当たる評価書の案の取りまとめに入る考えを示し、規制委員会の判断が覆らなければ敦賀原発2号機は再稼働できず、廃炉になる可能性があります。