30日、今年4月に避難指示が解除された、福島県田村市都路地区東部の住民を対象にした懇談会が開かれましたが、解除から約5カ月が過ぎたいまも、営農再開への不安や放射性物質を心配する声が住民から上がりました。住民たちは、いまも大きな不安を抱えています。
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福島県内の除染で出た汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設をめぐり、佐藤雄平知事は30日、政府が建設候補地とした大熊、双葉両町への施設の建設を受け入れると表明しました。
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今なお「放射線不安」 解除後初、都路で住民懇談会
福島民友ニュース 2014年8月31日
田村市は30日、同市都路行政局で東京電力福島第1原発事故による避難指示が解除された都路地区東部の住民を対象にした懇談会を開いた。4月の解除後、初めての開催で、参加した住民からは、営農再開への不安や放射性物質を心配する声が上がった。解除から約5カ月が過ぎたが、住民が大きな不安を抱えている現状が浮き彫りになった。
避難住民を含め、原発20キロ圏内の118世帯、約350人を対象に実施し、43世帯の46人が参加した。「われわれが作った農産物が売れるのか不安」。来年からコメ作りを再開する予定だという農業坪井幸一さん(65)は、懇談会に出席した冨塚宥暻市長や内閣府の井上博雄参事官らに訴えた。
坪井さんは「都路のコメは安くしか買い取ってもらえないのが現状。今は補償を受けているので何とかなるが、補償が終わった後に生活していけるのか」と農業への支援を求めた。同地区で40年以上シイタケ栽培を営んできた坪井哲蔵さん(65)は「シイタケ栽培は、いまだに再開できない。国、県、市でどうやったら再開できるか検討してほしい。生活にならない」と強く求めた。
懇談会では、避難を続ける住民からの要望も聞かれた。同市船引町の仮設住宅で暮らす新田達雄さん(64)は「飲料水や土壌の放射性物質が心配だ。沢水を飲んでいる住民も多い。詳細な検査や井戸を掘るなどの対応をしてほしい」と訴えた。
「中間貯蔵」受け入れ表明 知事、5項目の条件付け
福島民友ニュース 2014年8月30日
県内の除染で出た汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設をめぐり、佐藤雄平知事は30日、政府が建設候補地とした大熊、双葉両町への施設の建設を受け入れると表明した。ただ、施設への汚染土壌などの搬入を認めるか否かの判断は建設受け入れとは別とし、政府に対応を求める条件を付した。大熊町の渡辺利綱町長と双葉町の伊沢史朗町長は、佐藤知事の判断を了承し、事実上建設受け入れが決まった。
佐藤知事は30日、両町を含む双葉郡8町村の首長や議長らと福島市で会談後、報道陣に「本県の除染を推進し、環境回復を図る上で重要な役割を果たす必要な施設」と中間貯蔵施設の必要性を認めた上で「苦渋の決断だが、建設の受け入れを容認したい」と明言した。
汚染土壌などの搬入を判断する条件について佐藤知事は〈1〉30年以内の県外最終処分を定めた法案成立〈2〉生活再建・地域振興策の交付金の予算化〈3〉施設、輸送の安全確保―など5項目を示し、地権者への丁寧で分かりやすい説明を政府に求める考えを強調した。