政府は、原発を持つ国同士が重大事故時の賠償金を支援する「原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)」の承認案を29日に召集される臨時国会に提出する考えです。
日本弁護士連合会は「原発輸出の推進が目的で、原発による人権侵害を他国に広める」などとこの条約に反対しています。
詳細は下記の文科省の資料を参照ください。
原子力損害賠償に関する国際条約への対応の方向性について(案)
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メーカー免責の原発賠償条約 臨時国会に承認案
東京新聞 2014年9月22日
菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十二日午前の記者会見で、原発を持つ国同士が重大事故時の賠償金を支援する「原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)」の承認案を二十九日に召集される臨時国会に提出する考えを明らかにした。
この条約は異常に巨大な天災の場合を除き、賠償責任は全て、事故発生国の電力会社が負い、加盟国は事故発生国に対して支援金を支払う仕組み。輸出先が加盟国なら、日本製の原発でもメーカーは免責される。日本の原発メーカーはリスクが減る分、輸出しやすくなる。
米国が中心となり、条約発効に向けた準備を進めている。日本が加盟すれば、発効要件を満たすため、米国から強い要請がある。
菅氏は、山口俊一科学技術担当相が二十一日にモニズ米エネルギー長官に条約の承認案を国会提出する考えを伝えたと説明。「東京電力福島第一原発の廃炉、汚染水対策を進める上で、知見のある海外企業の参加を後押しすることに役立つ」と述べた。
しかし、日本弁護士連合会は「原発輸出の推進が目的で、原発による人権侵害を他国に広める」などと反対している。
<原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)> 米国、アルゼンチン、モロッコ、ルーマニア、アラブ首長国連邦の5カ国が加盟するが、「原発の熱出力が計4億キロワット」の要件を満たさず未発効。米国は日本に、民主党政権当時から加盟を強く求めてきた。同種の国際条約には欧州が中心のパリ条約、東欧や中南米を中心としたウィーン条約がある。