北海道電力が申請した電気料金再値上げについて審議する「電気料金審査専門小委員会」(経産省有識者会議)の3回目会合が5日に開かれ、泊原発3基のうち1基でも再稼働した場合、それに対応して電気料金を2か月以内に値下げすることになりました。
経産省は、電力料金自由化の局面では、「トータルコストでは原発は火力に適わないから、原発の発電原価が火力を上回る分は電気料などで補填する」としながら、原発の再稼動を促進する局面では、「原発の発電コストは安いので、稼動すれば電気料を値下げできる」と、虚偽の言い分を踏襲するというわけです。
珍妙極まる話で、これが矛盾・自家撞着でなくて何でしょうか。
そして、それをそのまま認める有識者会議というのは一体何なのでしょうか。経産省の「原発発電コストへの補填」という情報にまだ接していないというのであれば、「有識者」には値しません。
原発の高コストを自覚している経産省や電力会社が、敢えて「原発を稼動すれば電力料金を値下げできる」という虚偽を、この場で貫こうとするのは、いずれ適当な理由をつけて電力料金を値上げしてカバーすればよいという、暗黙の了解があるからに他なりません。
(関係記事)
9月5日 危ない・高い・温める それが原発
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「泊再稼動したら電気料値下げ」…北電
読売新聞 2014年09月06日
北海道電力が政府に申請した、電気料金再値上げ(家庭向け平均17・03%)が妥当かどうかを検証する経済産業省の有識者会議「電気料金審査専門小委員会」の3回目会合が5日、経産省で開かれた。会合で北海道電の酒井修副社長は、泊原子力発電所(泊村)の3基の原発のうち、1基でも再稼働した場合の電気料金について「2か月以内の値下げを目指していきたい」と述べた。
今回、原発再稼働後の値下げを議論する場が持たれたのは、8月20日に行われた消費者委員会の専門調査会で「再稼働後の値下げの道筋を示すべきだ」と意見が出たのがきっかけだった。電気事業法では、値上げを認可する際に「条件を付すことができる」とされているが、値下げ時期や内容については具体的言及がないため、専門小委で検討することとなった。
北海道電は、泊原発3号機の再稼働を2015年11月、1号機を16年1月、2号機を16年3月と想定して再値上げを申請した。申請時に前提となる燃料費は13年4月から16年3月の3年間。申請時点では、この間の燃料費を割高な石油の価格で算定しており、再稼働の時期が早まった場合、再値上げによる料金の取り過ぎが生じることになる。
委員からは「値下げの際は、北海道電に高い透明性と説明責任が求められる」などの意見が出た。専門小委は今後、11日に札幌市で公聴会を開いて利用者の声を聞くことも予定している。