2014年9月23日火曜日

住宅除染 過半が未完了

 毎日新聞が調べたところによると、市町村による除染を国が財政支援する汚染状況重点調査地域に指定されたうち、その半数超の40市町村で計約31万2000が「未完了」になっていることが分かりました。この殆どを福島県が占めています。

 作業が進まない理由として「除染土の仮置き場確保が困難」など多くの市町村が仮置き場不足を挙げ、他には「関係者が膨大で、同意取得に日数を要している」など、地権者同意に手間取っている例もあります
 
 建設省は、「福島県は実施戸数が多く、計画完了は2015〜16年度末がめどでほぼ想定通りのペースだ。他県は戸数を基準にすると約9割が終了した」と説明しています
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住宅除染 過半が未完了…74市町村計画、進捗に地域差
毎日新聞 2014年09月22日
 東京電力福島第1原発事故に伴い、市町村による除染を国が財政支援する汚染状況重点調査地域に指定され、住宅の除染を計画した東北、関東の74市町村のうち計画分を「未完了」としているのは、6月末時点で半数超の40市町村に上り、少なくとも計約31万1700戸分に上ることが、毎日新聞のアンケートで分かった。このうち2町は住宅除染に着手できておらず、進捗(しんちょく)率の地域差も浮き彫りになった。
 
 同地域に指定された8県(岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉)104市町村(うち4市町村は指定解除)に78月、優先してほぼ終了した学校や公共施設などを除き、住宅、道路、農地、森林の除染についてアンケートし、全市町村が回答した。このうち住宅除染を計画したのは74市町村。未完了とした40市町村の県別の内訳は、実施戸数の多い福島県が29と大半を占め、少なくとも28万6002戸の除染が終わっていなかった。他は栃木・宮城各4、茨城2、群馬1で計2万5719戸。今後の除染予定戸数について、3市町村は「集計中」などとして回答しなかった。宮城県山元町(予定戸数1495戸)と福島県新地町(同600戸)は「進捗率0%」だった。
 
 作業が進まない理由として「除染土の仮置き場確保が困難を極めている」(福島県いわき市)など多くが仮置き場不足を挙げた。また、「関係者が膨大で、同意取得に日数を要している」(栃木県那須町)など地権者同意に手間取っている例も複数あった。
 このほか、計画分は終わったが、軒下などの放射線量が比較的高い場所の除染を「今後も継続実施する必要がある」と答えたところも岩手・茨城各2、福島1の計5市町村あった。
 環境省の担当者は「福島県は実施戸数が多く、計画完了は2015〜16年度末がめどでほぼ想定通りのペースだ。他県は戸数を基準にすると約9割が終了した」と説明する。
 
 一方、京都精華大の山田国広名誉教授(環境学)は「国は除染方法の大枠を指針などで定めているが、その運用は自治体に任され、地域差が生じている。計画分を終えてもホットスポットなどの問題が残る場合もあるが、今後の具体的な方針を国はまだ示していない」と指摘する。
 住宅以外の除染で計画分を未完了としたのは、「道路」が計画した70市町村のうち41市町村▽「農地」が47市町村のうち28市町村▽「森林」が44市町村のうち36市町村だった。【狩野智彦】
 
◇汚染状況重点調査地域◇
 放射性物質汚染対処特別措置法に基づき、年間の追加被ばく線量が1ミリシーベルト以下になるよう、空間放射線量が毎時0.23マイクロシーベルト以上の場所が一定範囲で広がる市町村で環境相が指定する。指定された市町村は実施計画を作って除染を進める。国が定める指針などに沿う除染であれば原則、国が費用を全額補助する。線量低下などで指定が解除されたのは宮城県石巻市、福島県昭和村、群馬県みなかみ町、片品村の4市町村。これとは別に、福島第1原発周辺の11市町村は国が直轄除染を行う「除染特別地域」に指定されている。
除染特別地域など
               除染特別地域など