これまで国も電力会社もそしてTV解説者なども、全て「原発の発電コストが安い」という前提で、原発を推進しようという論理を構成してきました。「早く原発を稼動させないと電気料金がどんどん上がる」と主張したわけです。現に北海道電力はその論理で電力料金の値上げを経産省に申請しています。
しかしまことに皮肉なことに、16年~18年に電力料金を自由化することに関連して、ついに経産省も8月21日、「原発の発電コストが火力よりも高い」ことを公に認めました※。これは別に経産省が先走ったということではなくて、電力会社から要請があったからなのでしょう。
※ 9月4日 なぜそこまでして原発を支援するのか
「原発の発電コストは安い」という、国家が作った壮大な偽りがついに破綻したというわけです。虚偽は最後にはあばかれるものです。
しかしこの天動説が地動説に変わるという「コペルニクス的転回」に対して、今後 原子力ムラはどう対応しようとしているのでしょうか。「危険で、海水温を上昇させ、しかも高い」ということになれば、もはや何の取り得もないということです。
『原発推進論は根底から崩れ去りました』
それでもしがみつきたいというのがどうも「原子力ムラ」の本音のようなのですが、一体どんな論理を持ってこようというのでしょうか。ひとごとながら気になる話です。
ところでメディアはまだそういう頭の切り替えにはなっていないようです。
次に示すのは産経新聞の記事ですが、見事に「原発のコストは安い」という論理で構成されています。
これはもしかすると歴史的な文書になるかも知れません。(^○^)
追記)核燃料の精製から使用済み核燃料の安定化(最大10万年)までに要するエネルギー(=炭酸ガス発生量)は膨大なので、原発は最大の炭酸ガス発生施設になる筈です。しかし「炭酸ガスの発生が地球を温暖化させる」という論理も、極めて怪しいといわれています。
明らかに言えることは、原発の発電効率(発生する熱量と電気量の比率)は火力よりも低いので、「単位発電量当たりの海水温度上昇量」は、原発が最も大きいということです。つまり原発が一番地球を温めています。
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早期の原発再稼働 「アベノミクス」のカギ握る
産経新聞 2014年9月3日
第2次安倍改造内閣では、原子力発電所の再稼働をいかに進めるかが喫緊の課題となる。原発の稼働停止が長期化することで全国的に電気料金の上昇が続いており、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の屋台骨を揺るがしかねないとの懸念が高まっている。再稼働を円滑に進めるためには、政府が前面に立つことが求められている。
新たに経済産業相に就任した小渕優子氏は、これまでエネルギー政策について目立った発言をしていない。ただ、経産省幹部は「安倍政権として原発再稼働について一貫した方針を示しており、エネルギー政策の方向性が変わることはないだろう」と指摘する。
原発再稼働をめぐっては、原子力規制委員会が7月に九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の安全審査の審査書案を了承した。今後、再稼働に向けて地元自治体の同意を得るため、経産相や環境相など関係閣僚が現地入りして理解を求めることが必要になるとみられる。
また、原子力や再生可能エネルギーなどの組み合わせを示す「ベストミックス(最適な電源構成)」の策定に向けた議論も今後本格化する。今年4月に閣議決定したエネルギー基本計画ではベストミックスが示されていない。電力会社などは長期の投資計画の策定が難しくなったほか、温室効果ガスの削減目標を作る上での障害にもなっている。
エネルギー政策が停滞すればアベノミクスに悪影響を与えるのは必至だ。小渕経産相にはスピード感を持った政策の実行が求められる。