東京電力福島原発の廃炉に従事する作業員が、本来支払われるべき手当を受け取っていないとして、東電などを相手に損害賠償を求める訴訟を起こすことがわかりました。
訴えるのは廃炉作業を請け負う下請け企業で働いていた34~65歳の男性4人(うち2人は現役)で、3日に福島地裁に提訴します。現役の廃炉作業員が東電を提訴するのは初めてということです。
東電は廃炉作業員の日当などとして、1人につき数万円を元請に支払っていますが、それが5次、6次の下請け作業員に渡るときには、中間でピンハネされる結果、その数分の1の1万円程度になってしまいます。
以前、こうした実態を是正しようと、発注元の東電が働きかけたのですが、元請以下の企業が「下請けの営業に干渉すべきではない」と拒否した経過があります。
しかし、東電の支払う原資はいわゆる電気代や税金であって、元はといえば国民のお金です。それがそんな風に常識外の規模で収奪されて良いわけがありません。
今度の訴訟の中でそうした不明朗な実態が解明され、是正されて欲しいものです。
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原発作業員 待遇改善求め東電を初提訴へ
NHK NEWS WEB 2014年9月1日
福島第一原子力発電所で事故対応の工事などに携わっている作業員たちが、待遇が被ばくの危険を伴う業務に見合っていないと主張して、東京電力などに改善を求める訴えを起こすことになりました。
廃炉に向けて長期的な人員の確保が課題になるなか、現場の作業員の待遇について東京電力の責任が初めて司法の場で争われることになります。
訴えを起こすのは、福島第一原発で事故対応の工事に当たっている下請け企業の従業員の男性ら4人です。
男性らは放射能に汚染された水をためるタンクの配管工事などに携わってきましたが、賃金などの待遇が被ばくの危険を伴う業務に見合っていないと主張して、東京電力などに1人当たりおよそ1000万円の支払いを求める訴えを、今月3日に福島地方裁判所いわき支部に起こすことを決めました。
現場の作業員の待遇を巡って、東京電力は去年11月、元請け企業に支払う人件費を日額で1万円増やす対策を発表しましたが、下請け企業で働く男性らの賃金は今も変わっていないということです。
廃炉に向けた作業には1日当たり3000人から6000人の作業員が必要とされ、長期的な人員の確保に向けて待遇の改善が大きな課題となるなかで、東京電力の責任が初めて司法の場で争われることになります。
作業員「言いたいことが言える環境に」
訴えを起こすことを決めた30代の作業員の男性は、「汚染水を入れる配管の交換などをすると被ばく量が1か月で4ミリシーベルトを超える時もあり、将来、病気にならないか不安だ。待遇に不満があっても勤め先の会社から仕事をもらえなくなると思い、これまでは主張できなかった。裁判をきっかけに作業員が言いたいことが言える環境にしたい」と話しています。
弁護士「労働環境の実態明らかに」
訴えを起こす作業員たちの代理人を務める広田次男弁護士は、「東京電力は原発の現場で働く作業員に正当な報酬を支払われるよう、元請けや下請けの会社を監督する責任がある。裁判を通して原発での労働環境の実態を明らかにしていきたい」と話しています。
東京電力「主張聞いたうえで対応」
東京電力は「詳しい内容は承知していないが、提訴されるということであれば裁判で主張を聞いたうえで対応を考えたい」と話しています。