2015年3月13日金曜日

茨城 農家206人が原発ADR 「風評被害」を集団申し立て

 福島原発事故による風評被害で野菜価格が下落しているのに賠償を打ち切られたとして、茨城県南西部の農家206人が11日、東電に計約14千万円の損害賠償を求め、ADRによる和解仲介を申し立てました。農家の集団申し立ては初めてということです
 
 農家は、ハクサイやレタス、キャベツなどを生産し全国に出荷しており、2011月の原発事故後東電から風評被害の賠償金が支払われていましたが、一部の卸売市場で農産物価格が回復したなどの理由で、13月分を最後に全員が支払いを打ち切られました。
 それに対して、茨城県産野菜の価格はまだ原発事故以前の水準まで回復しておらず、風評被害は続いていることから損害賠償を求めたものです
 
 弁護団は、風評被害への賠償金を2013年3月分で打ち切った東電の対応は「あまりに形式的で理不尽だ」と批判しています
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茨城 農家206人が原発ADR 「風評被害」集団申し立て
東京新聞 2015年3月12日 
 東京電力福島第一原発事故による風評被害で野菜価格が下落しているのに賠償を打ち切られたとして、茨城県南西部の農家二百六人が十一日、東電に計約十四億一千万円の損害賠償を求め、裁判外紛争解決手続き(ADR)による和解仲介を原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てた。弁護団によると、農家の集団申し立ては初。
 
 申し立てた農家は、坂東市や境町でハクサイやレタス、キャベツなどを生産し、全国に出荷。二〇一一年三月の原発事故後は、東電から風評被害の賠償金が支払われていたが、一部の卸売市場で農産物価格が回復したなどの理由で、一三年三月分を最後に全員が支払いを打ち切られた。
 弁護団は、農家への聞き取りや政策シンクタンクの論文から、県産野菜の価格は原発事故以前の水準まで回復していないと主張。消費者の買い控えを示す調査や、県の風評対策事業が今も続いていることなどを踏まえ、風評被害は続いていると判断した。東電は「個別事案へのコメントは差し控えるが、手続きに沿って適切に対応する」としている。
 
 
東電対応「あまりに理不尽」 原発ADR申し立て
東京新聞 2015年3月12日
 県南西部の野菜農家206人が11日、東京電力に計約14億1000万円の賠償を求め、原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てた。県庁で会見した弁護団は、福島第一原発事故による風評被害への賠償金を2013年3月分で打ち切った東電の対応は「あまりに形式的で理不尽だ」と批判した。 (妹尾聡太)
 
 弁護団や会見に同席した農家によると、今回の申し立て以前にも東電に賠償金の支払い再開を直接請求したが、今年一月末に二百六人全員が断られたという。県産野菜から放射性物質は検出されないのに、一部の野菜の出荷時の単価は原発事故前の水準を数割下回ったまま、回復していない。農家の一人は「どうして風評被害がないなどと言えるのか」と憤った。
 弁護団の関健太郎弁護士は、ADR申し立ての動きが公になることで「かえって風評被害が残ってしまう。農家にとっては、このまま風化してほしいのが本音だ」と説明。その上で「『東電に言うべきことを言っていこう』と立ち上がった」と生産者の胸の内を代弁し、「県南西部だけに風評被害が残っているわけではなく、茨城県全体の問題だと考えている」と述べた。