東北電力女川原発の重大事故を想定し30キロ圏内の7市町が策定する広域避難計画で、美里、涌谷両町は緊急防護措置区域(UPZ)だけでなく、全町域の計画作成を検討しています。
両町は石巻市の避難者受け入れ先と位置付けられているものの、町が全域避難の場合は当然石巻市民の受け入れは困難になります。
「宮城県」のガイドラインでは、UPZだけの避難を想定していますが、両町の担当者は「福島第1原発事故を見ても30キロ圏外だから安全とは言えない。機械的に30キロという線で避難地域を区切るのでは住民の理解が得られない」と述べていて、福島事故では放射能のプルームが帯状に流れたことが明らかにされただけに説得力があります。
UPZを30キロという極く狭い範囲に設定しているのは日本だけで、す。アメリカは80キロに設定していて、先の福島原発事故時には80キロ以遠に避難するようにと米本国から日本滞在者に連絡が入りました。
国があくまでも30キロにこだわったとしても、町が独自に全町非難を計画するのを禁止する権利は国にも県にもありません。
納得ができてしかも実効性のある避難計画がまとまるまでには、まだまだ時間が掛かりそうです。
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<女川原発>美里と涌谷町、全町域の避難計画検討
河北新報 2015年3月29日
東北電力女川原発(女川町、石巻市)の重大事故を想定し30キロ圏内の7市町が策定する広域避難計画で、美里、涌谷両町が緊急防護措置区域(UPZ)だけでなく、全町域の計画作成を検討している。両町は石巻市の避難者受け入れ先と位置付けられているが、全域避難の場合は受け入れが困難になる。
(宮城)県のガイドラインなどによると、美里町で避難対象となる原発から半径30キロ圏のUPZに含まれるのは1行政区の116人。避難先は原則として町内のUPZ外とされている。
これに対して町は地域防災計画で「原子力災害の規模によって全町域でUPZに準じた対応を取る」と明記。担当者は「30キロ圏外は避難の必要がないと言い切れない。住民の安全を確保するには全町域の避難を具体化しなければいけない」と説明する。
町は新年度に策定する避難計画で、原発からの距離で町内を区分。放射線量や被害の状況などに応じ、段階的に避難エリアを広げる方針を盛り込むという。
涌谷町はUPZ内に2行政区の831人が居住。担当者は「町全体の避難を考慮した計画を作りたいが一度には難しい」として、当面はUPZに限定し、徐々に対象を拡大した計画に更新していく考えだ。
両町の担当者は「福島第1原発事故を見ても30キロ圏外だから安全とは言えない。機械的に30キロという線で避難地域を区切るのでは住民の理解が得られない」と口をそろえる。
ガイドラインでは両町は石巻市の避難者受け入れ先と明記され、受入数は美里町4000人、涌谷町800人を見込む。両町は町内避難にとどまる災害規模なら受け入れるが、全域避難の際は困難な状況となることを含め石巻市と調整する。
石巻市の担当者は「30キロ圏まで避難が必要な場合はそこで収まらない可能性があり、両町の判断は仕方がない。最悪の事態に備え、さらに避難先を探さないといけない」と語る。
ある自治体関係者は「そもそもUPZの住民の避難が必要となる自治体に、他自治体からの受け入れも求めるのは酷ではないか」とガイドラインに疑問を呈した。