会計検査院が東電福島原発に入り、予算が適正に使われているかについて調べた結果、多くの問題点が指摘されました。
仕事の進め方、工事上のミスへの対応、更には仕事の発注における工事金額査定の能力の有無など広い範囲にわたり指摘されていて、一つひとつがまことにもっともなものです。
蛙の面になんとか・・ということではなく、しっかりと対応して改めて欲しいものです。
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廃炉・汚染水対策の課題まとめる 会計検査院
NHK NEWS WEB 2015年3月23日
会計検査院は、大きな資金が投じられている福島第一原子力発電所の廃炉や汚染水対策について、支出を巡る課題を初めてまとめました。会計検査院は、東京電力に対し、再発を防ぐとともに、請け負った事業者に責任がある場合は損害賠償などを求める必要があると指摘しています。
この中で、会計検査院は、「トレンチ」と呼ばれる地下のトンネルに流れ込む汚染水の一部を凍らせて流れをせき止める計画が、汚染水が十分に凍らず、セメントで埋め立てる別の方法に変更されたことを取り上げています。東京電力は事前に実証試験を行ったとしていますが、会計検査院は「実証試験と実際の工事の結果が異なった場合にはその原因を十分に分析し、今後の実証試験等に役立てていく必要がある」と指摘しています。
さらに、検査院は、事故発生の3か月後に321億円余りで導入したフランス製の汚染水処理装置が相次ぐトラブルから3か月で停止したことや、おととしに21億円余りかけて建設した地下貯水槽で汚染水漏れが見つかり2か月で原則として使用をやめたこと、汚染水をためるタンクで継ぎ目から汚染水が漏れ出し、継ぎ目のないタンクへの置きかえが進められていることなどを課題に挙げています。
そして、汚染水処理は長期にわたると見込まれるとして、東京電力に対し、原因を分析して同じような事態の再発を防ぐとともに、請け負った事業者に責任がある場合は損害賠償などの必要な措置を講じるよう求める必要があると指摘しています。
【検査院「競争原理働きにくい」】
会計検査院は、福島第一原子力発電所の廃炉や汚染水対策について今回初めて検査の対象にしました。ここでは、国がこれまでに支出した研究開発に関わる費用の支出を巡る状況について課題を指摘しています。
国は、平成23年度以降、廃炉・汚染水対策を巡る技術の研究開発の費用に対し、これまでに1892億円を財政措置しています。このうち214億円余りは基金に充てられ、廃炉・汚染水対策の技術開発に当たるメーカーなどの事業者に対し、この基金から補助金を交付する仕組みを設けています。
補助金を出す事業者は公募で選ばれていますが、これまで公募が行われた17件の研究開発はほとんどが電力会社やメーカーなどで作る1つの団体からしか応募がなく、事業者はすべてこの団体が選ばれています。このため会計検査院は、「競争原理が働きにくい状況にあることを踏まえたうえで、事業費が適正であるかを十分に確認する必要がある」と指摘しています。
さらに、この基金は民間のNPO法人が管理していますが、会計検査院は、この団体に原子力に関する実績がなく専門知識があるメンバーもいないとしています。そのうえで、事業者に支払う額が適正かどうかを確認するため、専門知識がある担当者を置くか、有識者から助言を受けられる体制を整える必要があると指摘し、「廃炉・汚染水対策事業が適切に実施される体制が確保されているかなどについて引き続き検査していく」としています。
【基金管理NPO法人「指摘踏まえ検討」】
廃炉・汚染水対策のための214億円余りの基金を管理している東京・千代田区のNPO法人「地球と未来の環境基金」は、会計検査院の指摘について、「原子力分野の専門家はいないが、専門知識がある外部の企業から助言をもらい、基金の管理はこれまで問題なくできていると考えている。会計検査院の指摘を踏まえ、どのような管理の在り方がより適切なのか今後検討したい」と話しています。
汚染水:資格要件満たさない法人に関連事業を委託
毎日新聞 2015年03月23日
東京電力福島第1原発の廃炉・汚染水対策を巡り、会計検査院は23日、経済産業省資源エネルギー庁が資格要件を満たさない法人に関連事業を委託していたと発表した。事業は、エネ庁が約214億円の補助金を出し基金を設置。汚染水や廃炉対策の研究開発を進める民間業者を選び、基金から補助金を出す。これまでに42事業者が利用しているという。
問題とされたのは、NPO法人「地球と未来の環境基金」(東京都千代田区)。エネ庁が基金を管理する主体として昨年1月に公募し、この法人だけが参加。翌月、外部評価委員会の審査を経て選定(採択)された。
エネ庁の設定した公募の要件は(1)適切な経営基盤(2)類似事業に関する実績(3)原子力分野への精通−−など。同NPOは、過去に同分野の実績がなく、原子力の専門家もいないことから、検査院は対象外と指摘した。
昨年1月の公募で、エネ庁は実務を担う事務局として、過去に廃炉に関する研究開発実績を持つ「三菱総合研究所」(同)も選んだ。このため、エネ庁原子力発電所事故収束対応室は「NPOに専門家がいないのは知っていたが、三菱総研も選んだので問題はない」としている。
事業報告書によると、同NPOは千葉、埼玉の両県やブラジルなどで植林などの森林保全事業を展開し、エネ庁の他の補助金事業も行っている。エネ庁によると経産省OBは所属していない。NPOの担当者は「原子力分野の人材が必要ということであれば、今後検討したい」と話した。【高島博之、武内亮】