2015年3月19日木曜日

玄海3号機MOX訴訟、20日に判決

  玄海原発3号機のプルサーマル発電に反対する九州の市民130人が、MOX燃料(=プルトニウム・ウラン混合酸化物の使用差し止めを求めた訴訟の判決が20日、佐賀地裁で言い渡されます
 
 この裁判は、運転期間中に燃料の異常(=ウラン燃料よりも膨張率が小さいMOX燃料では、燃料を収納する被覆菅との間に間隙が生じて、最終的に燃料溶融を起す)が生じる恐れがあるかどうかが最大の争点で、核燃サイクルの是非を司法がどう判断するか注目されています
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玄海MOX訴訟、20日判決 危険性の判断焦点
佐賀新聞 2015年03月18日
 玄海原発3号機(東松浦郡玄海町)のプルサーマル発電に反対する九州の市民130人が、九州電力にプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の使用差し止めを求めた訴訟の判決が20日、佐賀地裁(波多江真史裁判長)で言い渡される。運転期間中に燃料の異常が生じる恐れがあるかどうかが最大の争点で、国策として推進されてきた核燃サイクルの是非を司法がどう判断するか注目される。
 
 九電は佐賀県や玄海町の事前了解を受けて2009年12月に国内初のプルサーマルの営業運転を開始。原告側は10年8月、全国初のMOX燃料の使用差し止めの訴えを起こした。訴訟の係争中、東日本大震災と福島第1原発事故が発生し、国の原子力政策は見直しを余儀なくされ、プルサーマル計画も不透明になっている。
 
 訴訟で原告側は、3号機でウラン燃料より膨張しにくいMOX燃料を使用すると、運転期間中に燃料と冷却水を通す被覆管の間に隙間が生じる「ギャップ再開」が起きる可能性を主張。温度上昇と隙間の拡大を繰り返し、「最終的には燃料溶融や原子炉容器の破壊など重大事故の危険性がある」とする。
 
 これに対し九電側は、3号機で使用するMOX燃料は十分な実績のあるウラン燃料と同様の設計とし、運転中の燃料棒の内圧は基準の範囲内であるためギャップ再開は起こらないと反論。「万一起きたとしても、燃料の溶融には至らず、重大事故が発生する具体的危険性はない」と主張する。
 
 使用済みMOX燃料の貯蔵・保管についても、原告側は玄海原発で長期の保管は避けられないとし、「放射能漏えいによる環境汚染など深刻な事態をもたらす危険がある」と指摘。九電側は「適切に管理された状態で安全に保管しており、環境汚染はない」とする。
 
 玄海原発のプルサーマル導入をめぐっては、市民団体が約5万人の署名を集め計画の是非を問う住民投票の条例制定を請求したが、県議会は07年に否決。また、05年に県が主催した公開討論会で九電が計画推進の「仕込み質問」や動員を行っていたことが原発事故後に発覚、県も一部関与を認めた。
 
■プルサーマル
 使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムをウランと混ぜてプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を作り、通常の原発で燃やす発電方式。玄海原発で2009年12月、国内初の営業運転が始まり、伊方など3原発も実施した。当初、国内の原発16~18基で行う計画だったが、福島第1原発事故後、先行き不透明になっている。