毎週金曜日の夜、雨の日も雪の日も首相官邸前で「原発いらない」「再稼働反対」と訴えてきた抗議行動(反原連主催)は27日に丸3年を迎え、行動の回数は延べ142回になりました。
しんぶん赤旗が参加した人たちに「思い」を聞きました。
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原発ゼロ その日まで 官邸前3年
しんぶん赤旗 2015年3月28日
27日に3年を迎えた首都圏反原発連合(反原連)の首相官邸前抗議行動。毎週金曜日の夜、雨の日も雪の日も、「原発いらない」「再稼働反対」と訴え続けてきた人たちの思いは―。
後悔から行動
■東京都清瀬市の女性(56)
原発事故が起きたときに感じた「なんで何もしてこなかったのか」という後悔が、官邸前に足を向けさせています。原発は制御できないとわかった今、原発をとめるのは、つくった者の責任です。安倍政権の思い通りにさせてはいけない。
しぶとく参加
■埼玉県富士見市の女性(46)
福島第1原発事故が起きた時の、声をあげずにはいられなかった怒りと悲しみの気持ちを今でも覚えています。官邸前で抗議行動が続いていることは、すごく大事なことです。これからも自分のペースで、しぶとく参加し続けていきたい。
微力でも声を
■横浜市の男性(44)
再稼働は正気のさたとは思えません。地震やテロが起こったら、福島の原発事故と同じようなことが起こる。原発を動かせば、放射性廃棄物が増え、これからの世代の負担がどんどん重くなる。微力でも声をあげていくことが大事です。
走る「脱原発」
■札幌市の男性(69)
とにかく、原発反対の行動を続けていかないとだめです。官邸前行動には、10回参加しています。マラソンが趣味で、大会に出るために東京にきたときに必ず参加しています。走るときは「脱原発」のゼッケンをつけてアピールしています。
どんなときも
■神奈川県大和市の男性(74)
2年以上、官邸前行動に参加しています。官邸前では、寒いときも、暑いときも、若い人が毎週、がんばっている。私たちが声をあげなくなったら、政府は何をするかわからない。これからも参加し、訴え続けたい。
声は確実に広がっている
反原連の音響担当 若林一彦さん(62)
福島第1原発事故から4年がたちましたが、放射能汚染水や核廃棄物など、未解決の問題が山積みです。そのような中で原発再稼働を狙う政府の姿勢は、決して容認できません。
安倍政権は原発推進だけでなく、どの問題でも、独善的な施策を進めています。これをいかに崩していくか。なによりも、「原発は重要なベースロード電源」だとするエネルギー基本計画は、何としても撤回させないといけないと思います。
デモ行進すると、街の反応がとても好意的に感じます。表だって声を出していない人たちにも、「原発はいらない」という世論は確実に広がっているのではないでしょうか。
約1年半もの間、稼働原発ゼロの状況が続いており、原発がなくても電気は足りているんだということを、もっと多くの人たちに知らせていきたい。
1986年に起きたチェルノブイリ事故が、原発に反対する運動を始めたきっかけです。生きとし生けるものの命を脅かし続ける原発はどこにも必要ありません。
自分は官邸前で音響を担当しています。参加者から「スピーチがよく聞こえる」と言われるのが、励みになっています。原発ゼロの社会を目指して、これからも頑張っていきましょう。
世論と運動が追い詰める
首相官邸抗議行動は、だれでも自由に参加できる定例行動として、原発に反対する国民世論を目に見える形で示してきました。
首都圏反原発連合(反原連)が官邸前行動を始めた3年前は、野田民主党政権でした。この年の夏には、関西電力大飯原発(福井県)に反対して、参加者は20万人という空前の規模になりました。こうした運動の広がりのなか、民主党政権は「2030年代に原発稼働ゼロ」を掲げざるをえなくなりました。
2012年12月に誕生した安倍自民・公明政権は、エネルギー基本計画で、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発推進に逆戻りし、九州電力川内原発(鹿児島県)、関西電力高浜原発(福井県)を突破口に再稼働に突き進んでいます。
しかし、どの世論調査でも、再稼働反対が5~6割を占め、本紙の調べで、原発反対の定例行動は46都道府県279カ所にのぼります。反原連は、原発をなくす全国連絡会、さようなら原発1000万人アクションとともに、「反原発統一行動」を5回行い、共同を広げています。
稼働原発ゼロの状況が1年半、続いています。「この状況をつくりだしているのは、3年間にわたって毎週金曜日に首相官邸前行動を続けてきた首都圏反原発連合のみなさんをはじめとする国民の世論と運動の力です」。日本共産党の志位和夫委員長は、8日の「反原発統一行動」でこう語りました。世論と結んだ粘り強い運動が安倍政権を追い詰めています。
「原発なくせ」「再稼働反対」と抗議の声をあげる人たち=2月27日、首相官邸前