小泉元総理大臣は福島県喜多方市で講演し、「福島原発事故から4年たったが原因究明がきちんとされず、汚染水も全然コントロールされていない。政府は『日本の安全基準は世界でいちばん厳しい』と言うが、どこがそうなのか説明しておらず、それで再稼働しようということにあきれている」と、原発の再稼働を進める政府の方針を批判しました。
そして「政治が『原発ゼロ』にかじを切れば、必ず自然エネルギーで経済成長できる国になる」と、政治主導で原発のない社会を実現すべきだという考えを重ねて示し、「なぜ原発ゼロを決断しないのか分からない」と語りました。
首相には、官・民・学が一体となっている「原子力ムラ」の巨大利権構造への認識がないのか、あるいはその余塵を拝している自民党原子力推進派に立ち向かう勇気がないのかのいずれかなのでしょう。
(+ 朝日新聞の記事を追加)
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小泉元首相 政治主導で原発のない社会を
NHK NEWS WEB 2015年3月11日
小泉元総理大臣は福島県喜多方市で講演し、原発の再稼働を進める政府の方針を批判したうえで、政治主導で原発のない社会を実現すべきだという考えを重ねて示しました。
この中で小泉元総理大臣は、福島の原発事故に関連して、「事故から4年たったが、原因究明がきちんとされず、汚染水も『コントロールされている』と誰かが言っていたが、全然されていない。政府は『日本の安全基準は世界でいちばん厳しい』と言うが、ほかの国より何が厳しく安全なのか説明しておらず、それで再稼働しようということにあきれている」と述べ、原発の再稼働を進める政府の方針を批判しました。
そのうえで、小泉氏は、今後のエネルギー政策について、「政治が『原発ゼロ』にかじを切れば、必ず自然エネルギーで経済成長できる国になる。実現可能な大きな目標が原発ゼロの社会だ」と述べ、政治主導で原発のない社会を実現すべきだという考えを重ねて示しました。
小泉氏は、講演のあと記者団に対し、「安倍総理大臣が『原発ゼロ』にしようと言えば、自民党の多数は協力するし、野党も協力する。一国の指導者として、自然エネルギー大国を実現する環境が整っていながら、やらないのは、もったいない」と指摘しました。
また、小泉氏は、戦後70年の「総理大臣談話」について、「少し騒ぎすぎだ。安倍総理大臣がさまざまな方面の意見を聞きながら判断すればいい」と述べ、安倍総理大臣の判断を尊重すべきだという考えを示しました。
小泉氏、首相は原発ゼロへ転換を 「自民党の多数も協力」
東京新聞 2015年3月11日
小泉純一郎元首相は11日、安全と確認された原発を再稼働させる安倍晋三首相の方針について「首相が原発ゼロと言えば自民党の多数も協力する。ピンチをチャンスに変える環境が整っている。これを生かすべきだ」と述べ、転換を促した。福島県喜多方市での講演後、記者団に語った。
首相在任中の2004年、国会審議で自らの年金加入問題を聞かれた際の答弁で「人生いろいろだ」と発言したことを引き合いに「首相もいろいろだ。(なぜ原発ゼロを決断しないのか)分からない」と語った。
同時に、日本は太陽光など自然エネルギー利用で遅れているとの認識を表明した。(共同)
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「汚染水コントロールされてない」 小泉氏、首相を批判
朝日新聞 2015年3月12日
小泉純一郎元首相は11日、福島県喜多方市で講演し、福島第一原発の汚染水問題を安倍晋三首相らが「アンダーコントロール」と発言していることについて、「全然(コントロール)されてない。よくもああいうことが言えるなと思う」と厳しく批判した。
政権が進めようとする原発再稼働に関しても、「原子力規制委員長が新しい審査基準に合格しても、安全とは申し上げられないと言っている。原発は一番コストがかかる」などと理由を挙げて、「あきれる」と語った。さらに、国の主導で使用済み核燃料の最終処分場を選定する方針を「再稼働させればまた(使用済み燃料が)増えていく中で、政府が決めるからオーケーしてくれという考えの方が無責任だ」と断じた。
また小泉氏は「政治が原発ゼロに舵(かじ)を切れば、自然エネルギーで経済成長できる」と政治決断の必要性を強調した。講演後、記者団から安倍首相が脱原発を決断しない理由をどう思うか聞かれると、「分かんない。総理も色々だ」と皮肉った。