東京新聞 2015年3月25日
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を運営する日本原子力研究開発機構(原子力機構)が、もんじゅの原子炉を冷却する配管類や、熱交換器などに冷却水を送る設備という極めて重要な設備でも、点検を適切に行っていなかったことが二十五日分かった。今月二日から実施した原子力規制委員会の保安検査で判明した。
規制委や原子力機構によると、新たに判明した大きな問題点は二つある。
一つは、原子炉を冷やす一次冷却系。発火の危険性がある液体ナトリウムが使われており、本来ならナトリウムを抜いてデータを取り、配管などが劣化していないかなどを詳しく分析するよう定められているのに、十分に分析しないままナトリウムを戻していた。
もう一点はポンプ類や熱交換器などに冷却水を送る補機冷却系の点検。配管が劣化していないか、配管の厚さを計測してチェックする手順になっていたのに、外観を見ただけで点検済みとしていた。
ずさんな管理が見つかった部分は、いずれも原子炉の安全性を保つ上で最も重要とされる「クラス1」の配管。もんじゅをめぐる点検漏れは一万点を超え、検査をするたびに新たな点検漏れが見つかる問題が指摘されてきたが、数の多さだけでなく、手抜きは原子炉の心臓部にまで及んでいたことになる。
もんじゅは現在、事実上の運転禁止命令が出ている。今回の事態を受け、さらに長期化するのは必至だ。本紙の取材に対し原子力機構の担当者は「(一昨年から)不十分な保守管理体制の見直しを進めてきたがまだチェックの仕組みが完全に浸透、定着していなかった」などと釈明している。