福島原発事故に伴う甲状腺検査の専門家による評価部会が開かれ、平成23~25年度の先行検査(1巡目)で見つかった86人の甲状腺がんについて、(1)チェルノブイリ原発事故で多く見つかった5歳以下のがんが見つかっていない (2)被ばく線量がチェルノブイリよりはるかに低い-などから放射線の影響を否定する中間報告を取りまとめました。
上記の(1)、(2)が何故放射能の影響を否定する根拠になるのでしょうか。以前の段階では「スクリーン効果」という、これもあまりそれだけでは判然としない理由を挙げていました。
今回の評価会議に限らず福島県民の健康調査に関する検討会議では、常に明確な理由が示されないまま真っ先に放射能の影響はないとする見解が示されるのは不可解というしかありません。
福島県を中心として児童の甲状腺がんが高率で発症していることについては世界中が注目していることなので、そうした人たちも納得ができて後世の評価にも耐える説明を求めたいものです。
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甲状腺がん 放射線の影響否定 評価部会が中間報告
福島民報 2015年3月25日
東京電力福島第一原発事故に伴う甲状腺検査の専門家による評価部会は24日、福島市で6回目の会合を開き、平成23~25年度の先行検査で見つかった86人の甲状腺がんについて、放射線の影響を否定する中間報告を取りまとめた。
事故当時18歳以下の約37万人が対象の一巡目の先行検査で見つかった86人の甲状腺がんについて、(1)チェルノブイリ原発事故で多く見つかった5歳以下のがんが見つかっていない(2)被ばく線量がチェルノブイリよりはるかに低い-などから「現時点で結論付けはできないが、放射線の影響とは考えにくい」との評価を明記した。
現行の調査を継続し、被ばくの影響を長期にわたり調べていくべきとした。甲状腺がん発見時の病態が必ずしも生命に影響を与えないとされる特性を踏まえ「定期的な経過観察という選択肢もあり得る」との見解を付け加えた。
一方、検査で必ずしも治療の必要がない甲状腺がんを見つけているのではないかという「過剰診断」の指摘に対して、「不要な被ばくに加え、不要だったかもしれない治療のリスクを県民は負わされている」「原発事故の被害の一端」との意見が部会で相次いだため、中間報告書の文言を修正した上で、4月以降の県「県民健康調査」検討委員会に提言する。
この他、中間報告に事故の影響を判断するための初期内部被ばく線量の分析の必要性、経過観察などで通常診療(保険診療)に移行した場合の医療費の公費負担、乳幼児の追跡調査の重要性、検査結果の再評価の枠組みづくりを盛り込んだ。
部会終了後、記者会見した部会長の清水一雄日本医科大名誉教授は「最終的に放射線の影響があるかどうかを判断するには、最低でも10年はかかる」との見方を示した。