2015年3月27日金曜日

原発事故時の報道規制の実態

 武田邦彦氏が音声ブログで、福島原発事故時のNHKなどの報道ぶりを詳細に説明しました。
 概要が文字化されていますので以下に紹介しますが、音声では9分弱にわたりより詳細に説明しています。
 下記のURLをクリックすれば動画がスタートします(形式は動画ですが、実際は音声のみです)。
 
 結論は、政府の報道規制によるものか、あるいはマスコミの自主規制なのかは不明ですが、結果として中国の天安門事件の時よりももっと酷い報道規制が行われたということです。
 このときは民主党の菅内閣でしたが、なぜ日本ではいちばん報道が必要なときに報道が行われなくなるのでしょうか。
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原発を再開する前の準備(2)
 報道とパニック 
 武田邦彦 2015年03月26日  
福島原発一号機の最初の爆発映像はNHKで見た。ところがそれに続いた3号機の爆発映像は先進国から流れてくる映像だった。そして4号機はアラブのアルジャジーラしか私は見ることができなかった。
 
それは私の人生でも衝撃的事件だった。日本に生まれ、情報は自由、表現の自由が守られていると信じてきたからだ。しかし実際は中国の天安門事件の時より報道規制か、あるいはマスコミの自主規制は厳しかった。
 
私はIAEA(国際原子力機関)を経由して、日本の気象庁から出された福島の風向きを知った。日本では発表されていなかったばかりか、NHKは風向計の故障を理由にして風向きを国民に知らせず、気象学会の会長は気象学会の会員たちに風向きを発表するなと通達した。
 
さらに、風向きによって放射性物質がどのように飛散しているか、ドイツ、イギリス、ノルウェーの気象庁のホームページからデータを得た。日本からは日本人の健康を守る風向きは発表されず、報道されず、スピーディーの情報は隠された。
 
今では「被曝など平気だ」という人が多いが、政府、自治体、マスコミの人は相当、怖かったのだろう。そして何をすれば良いのか、国民よりむしろ政府や専門家の方がパニックになっていたように思う。
 
それから4年。なぜ報道を規制したのか、まだ理由の説明がない。一つの理由は「パニックが起こるから」ということだが、事実を知らせることによってどのようなパニックが想定されたのか、それも述べられていない。報道の倫理も崩れた。マスコミ各社は記者やカメラマンを福島から引き上げ、そして「安全です」を繰り返した。
 
それ以後、日本の報道は「事実を報道するとバッシングされるか、政府から意地悪をされるので、視聴者に危険がそれほどでもないときだけ報道し、本当に危険が迫ったら報道を避ける」ということになった。
 
原発を再開するなら、次の時にはマスコミはどのように報道するのか、パニックというのはなにか、など準備をしておかなければならないことは多い。また福島の事故の時には地震で停電し、現地ではテレビも止まり、寒さもひどく、携帯の充電もできず、ガソリンもない・・・という状態に陥った。
 
まず報道をどうするか、そして報道にも接することができない国民をどうするかなどを決めなければならない。 (平成27年3月13日)