2018年4月25日水曜日

トルコの原発計画 安全対策で当初の2倍超の建設費に

 三菱重工など日本の官民がトルコで進めていた原発の建設計画4基出力計450万キロワット)で、事業化調査(FS)の過程で総事業費が、安全対策費の大幅な増加によって当初の2倍強の5兆円超に膨らむことが判明しました。このため伊藤忠計画から離脱する方向に傾いたということです。
 
 これまでは、三菱重工・伊藤忠・仏国大手会社の3社で、総事業費の3割のさらに51%分を負担することになっていました。伊藤忠が撤退すれば残る関係会社への影響は当然大きいですが、安全対策の増強で当初予想額の2倍超に膨らんだことを思うと、海外では如何に本格的な原発の安全対策を考えているかが分かります。
 
 それに対し日本では、40年使用済みの老朽原発についても、僅かに配管補強を行ったり防潮堤を新設するなどの手当てをすれば、ほとんどすべての原発が運転を一挙に60年までの延長することが認められています。
 海外の対応に比べて日本は如何に安易な方法を採っているのかが思い知らされます。前人未踏というべき長期間の延長という、誰にも保証できないことを平然と行っているわけで、恐ろしいというしかありません。
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伊藤忠、トルコの原発計画から離脱 リスク大きく  
 日本経済新聞 2018年4月24日
 三菱重工業など日本の官民がトルコで進めていた原子力発電所の建設計画から伊藤忠が離脱することが明らかになった。事業化調査(FS)の過程で、安全対策費の大幅な増加によって総事業費が当初の2倍強の5兆円超に膨らむことが判明した。伊藤忠は事業への参画はリスクが高いとみて、計画からの離脱に傾いたようだ
 
 原発輸出は2013年に日本とトルコの政府が合意した。インフラ輸出を成長戦略の柱の一つに据える日本政府の後押しを受けてプロジェクトが進んできた。
 総事業費は当初、企業連合の出資で3割、国際協力銀行などの融資で7割を捻出。出資分のうち51%分を三菱重工、伊藤忠、仏電力大手GDFスエズ(現エンジー)、49%分をトルコ国営電力会社のEUASなどが分担する予定だった。建設後に売電収入で資金を回収する計画だ。
 
 黒海沿岸のシノプで、三菱重工などの企業連合が原発4基(出力計450万キロワット)の建設に向け、15年から18年3月末までFSを進めてきた。ただ東京電力福島第1原発事故後に安全対策費が上昇し、総事業費の試算は13年当時の2兆円から5兆円超に膨らんでいた
 伊藤忠はFSを共同で進めたものの、事業への参画は見送るもようだ。商社は建設計画の取りまとめや部材調達に強みを持つが、専門的な安全対策の技術は乏しい。原発を取り巻くリスクが懸念されるなか、継続は困難と判断したとみられる。三菱重工などはすでに今夏までのFS期間延長を決めているが、伊藤忠の離脱で計画が遅れる可能性がある。
 
 FSを通じて事業予算の大幅増が見込まれるなか、伊藤忠が不参加となれば、三菱重工が抱える事業化リスクは高まるのは必至だ。同社は出資の枠組みの変更などをトルコ側に求めている。