2018年4月1日日曜日

玄海原発 蒸気漏れに不安の声

玄海原発「やっぱりトラブル」 3号機蒸気漏れで市民団体
毎日新聞 2018年3月31日
 7年3カ月ぶりに再稼働したばかりの九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)で早くもトラブルが発生した。30日夜に判明した配管からの蒸気漏れ。九電は環境への影響はないと説明するものの、再稼働に反対してきた市民団体からは31日、改めて不安の声が上がり、再稼働に期待していた地元も慎重な運転を求めた。

「やっぱりトラブルが起きた、というのが正直な気持ちだ。点検をやり直して原因を徹底究明してほしい」。玄海原発の運転差し止めを求める訴訟を起こしている市民団体「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」代表の石丸初美さん(66)=佐賀市=は語気を強めた。
 脱原発を訴える「九電消費者株主の会」の深江守事務局長(61)も「保守点検していても、7年間も運転していなければ不具合が出ない方がおかしい。玄海原発の劣化が進んでいることが浮き彫りになった。早く運転を停止する決断をしてほしい」と訴える。

 一方、玄海町の岸本英雄町長は「(放射性物質を含まない)2次系の蒸気漏れと聞いたので私としてはホッとしたところ。ただ営業運転が遅れることはつらい」と語る。町民には「あまり過大に心配されないようにしてほしい」とし、九電に対し「世間、地域住民の皆さんが心配することがないよう稼働してほしい。後日、その旨は伝えたい」と述べた。

 原発近くの玄海町仮屋地区に住む漁協職員の西朗楽(あきら)さん(23)は「放射性物質漏れはないと聞いたので安心している。原発はいつも当然あるものなので再稼働しても特に心配していなかった。九電は安全性には気をつけてほしい」と話した。

 佐賀県は30日夜に県庁内に情報連絡室を設置し、31日も朝から職員らが情報収集に当たった。山口祥義(よしのり)知事は、道路開通式典に出席した同県伊万里市で取材に応じ、九電から県への連絡が蒸気漏れを確認してから約2時間後だったと説明。「基本的にはどういうトラブルであったとしても第一報があると対応ができる」とし、九電により迅速な連絡を求めた。そのうえで「(蒸気漏れの)原因についてしっかり確認することが大事。経緯も含めてしっかり確認して今後に生かしていきたい」と語った。【関東晋慈、池田美欧、西嶋正法】