2018年4月28日土曜日

原子力開発 民間主導は可能なのか と関係者困惑

 高速増殖炉の開発は事実上困難であることや、核燃料サイクルはもともと採算が取れないものであることが周知されるようになりました。
 高速増殖炉もんじゅは先日ようやく廃炉にすることが決まりましたが、1995年に液体ナトリウム漏れの事故を起こしてから20数年間殆ど動かなかったにもかかわらず、1日当たり5500万円もの維持費を要していたということです。常識をはるかに超えた信じがたい実態がそこにあったのでした。
 
 国の原子力委員会が25日、「原子力の研究開発電力会社やメーカーなどが主導し、国が支援する仕組みを導入すべきだ」との見解を示したことに対して、原子力研究開発機関や立地自治体からはそんなことが可能なのか」などの困惑の声が上がっているということです。
 要するに、原子力の研究開発については、国から潤沢な資金の提供が保障されないことには民間はとても手が出せないという、当初から採算性を度外視したものであるという実態が明らかになりました。
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新型炉の開発、国主導見直しを 原子力委が見解
佐賀新聞 2018年4月24日
 国の原子力委員会は24日、高速増殖炉などの新型原子炉の研究開発について、国主導で進める現在の仕組みを見直し、今後は電力会社やメーカーなど民間が主導して進めることを検討するよう求める見解をまとめた。
 
 政府は、2016年の高速増殖原型炉もんじゅの廃炉決定を受け、今後の高速炉開発の目標などを盛り込んだ工程表の年内策定を目指して議論を進めており、25日に開かれる会合で原子力委が経済産業省などに提案する。
 
 見解によると、電力自由化が進んだ現在、原子力の発電方式は「市場の需要で決められるもの」と指摘。電力会社が「多様な選択肢と戦略的な柔軟性を維持すべき」と強調した。
 
 
 原子力研究開発  
原子力委が見解 「民間主導、可能なのか」県内関係者困惑 /茨城
毎日新聞 2018年4月26日
 原子力の研究開発を巡り、国の原子力委員会が25日、「電力会社やメーカーなどが主導し、国が支援する仕組みを導入すべきだ」との見解を示したことに対して、県内にある研究開発機関や立地自治体からは「官民一体で取り組んできたのに」「そんなことが可能なのか」などと、反発や戸惑いの声が上がった。【吉田卓矢】 
 
 県原子力安全対策課の担当者は「研究規模や安全性などを考えると民間主導になじむのか」と首をかしげたうえで、「『主導』の範囲が分からない。国に確認し、県として何らかの要望や対応を考えたい」と話した。 
 
 原子力の研究開発を巡っては、大洗町や東海村など研究開発施設の立地する全国4町村が24日、国や立地自治体同士の連携を強化するための協議会を設立したばかりだった。 
 大洗町の担当者は「予算が限られる中、民間で研究開発を進めるのは一つの考えだが、全てを民間に任せ、国が支援するというのは違う」と批判。さらに「原子力政策は国がビジョンを示し、責任を持って取り組む国策であるべきだ。これでは安全対策での国の責任が薄れる」と懸念をあらわにした。 
 東海村の担当者も「国が中長期ビジョンを示し、その中で民間を活用するのなら分かるが、負担なども含めて民間主導でどこまでできるのか」と疑問を呈した。 
 
 また、今回の見解は、高速炉などの新型炉の研究開発を担う日本原子力研究開発機構に対して、「産業界との連携が弱く、知識基盤の構築や共有化が行われていない。ニーズ対応型の研究開発を行うことが求められている」などと指摘した。 
 
 これに対して、原子力機構は加速器施設「J-PARC」(東海村)などを例に挙げ、「生命科学、物質・材料科学など幅広い分野の研究開発に貢献し、産学官の研究者などによる施設の共用を促進している」と主張。さらに「これまでも社会ニーズに対応した研究開発をしている。高速炉開発についても、官民一体で取り組み、民間の技術力維持・向上や専門家育成に努めてきた」と反論した。
 
 
新型炉の開発、国主導見直しを 原子力委が見解
佐賀新聞 2018年4月24日
 国の原子力委員会は24日、高速増殖炉などの新型原子炉の研究開発について、国主導で進める現在の仕組みを見直し、今後は電力会社やメーカーなど民間が主導して進めることを検討するよう求める見解をまとめた。
 
 政府は、2016年の高速増殖原型炉もんじゅの廃炉決定を受け、今後の高速炉開発の目標などを盛り込んだ工程表の年内策定を目指して議論を進めており、25日に開かれる会合で原子力委が経済産業省などに提案する。
 見解によると、電力自由化が進んだ現在、原子力の発電方式は「市場の需要で決められるもの」と指摘。電力会社が「多様な選択肢と戦略的な柔軟性を維持すべき」と強調した。