2018年4月3日火曜日

福島県が小学生向け漫画「福島県のひみつ」制作

福島第1原発事故 震災の教訓、次世代に 
県が小学生向け漫画「福島県のひみつ」制作 /福島
毎日新聞 2018年4月2日
 東日本大震災と福島第1原発事故の経験や教訓を次世代に伝えようと、県は小学生向けの学習漫画「福島県のひみつ 震災のきおくときずな」を制作した。震災から7年の歳月が経過し、今春から入学する小学生は全員が「震災後生まれ」となることから、県は「福島の現状を理解でき、防災にも役立つ一冊にした」と話している。

 県がストーリーの題材やデータを提供し、福島市出身のライター、篠木絹枝さんがシナリオを執筆。山口育孝さんが漫画を描いた。
 震災を経験し、浜通りから郡山市内の避難所で出会った小学4年の男女4人が主人公。祖父を津波で失った女子が「こどもだってやれることはやろうよ!」と男子3人に呼びかけて一緒に避難者の手伝いに取り組んだことをきっかけに、県内外で散り散りになった後もそれぞれの場所で震災と向き合いながら成長していく姿を描いている。

 風評被害に悩む福島市の果樹農家や会津若松市の旅館が登場するほか、「ゲートの向こうの立ち入り禁止区域に桜並木が続いている」「原発事故で立ち入り禁止の地区だから(行方不明者の)捜索が進まなかった」など、浜通りの現実も織り込んだ。具体的なデータや復興の取り組み、県内各地の観光地もコラムで紹介している。

 社会のさまざまな事柄をわかりやすく解説する学研の人気シリーズ「まんがひみつ文庫」の一つとして、県内の小学校や図書館などに1万1000部を寄贈する。ひみつ文庫シリーズでは、これまで埼玉県や山梨県が「地域のひみつ編」で出版しており、ローカル豆知識や自虐ネタを盛り込んだ「埼玉県のひみつ」はネット上で話題となった。

「福島県のひみつ」は、学研の公式ウェブサイト(https://kids.gakken.co.jp/himitsu/)から無料で閲覧できる。県生涯学習課の担当者は「複合災害や、そこから得られた教訓を次世代に継承し、風評被害の払拭(ふっしょく)の一助にもなれば」と期待している。【尾崎修二】