2018年4月15日日曜日

福島町議が福島の原発事故の実態を大暴露

 (15日よりブログの更新を再開しました。どうぞよろしくお願いいたします。)

 TOCANAが、放射能問題真実を叫び続けながら孤軍奮闘してきた福島県広野町議会議員 阿部憲一氏のインタビュー記事を載せました。
「メディアは放射能被害の実態を隠そうとしている」、「政府は早く住民を帰還させて福島の復興を印象付け、それを海外への原発セールスに利用しようとしている」、「動植物の奇形が増加している」、「政府は放射能汚染の危険性をかくそうとしている」などと訴えました。
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福島の政治家がついに決死の大暴露! (インタビュー)
「政府は現実をことごとく隠す」「復興は原発セールスのため」
「動植物の奇形も増加」   
TOCANA 2018年4月12日
 東日本大震災から7年――。安倍首相は去年(2017年)を一つの“節目”と考え、それまで3月11日に合わせて開いてきた首相記者会見を取りやめた。しかし、福島原発から放射能が垂れ流しになっている状況はまったく変わらず、海も汚染され続けている。大手メディアに“忖度”の嵐が吹き荒れ、「放射能」という言葉を用いることさえ躊躇うほど萎縮した今、いったい誰がこの国のことを本当に愛し、真剣に将来の国民の幸せを考えているといえるのだろうか?
 
 そのような中、放射能問題を真正面から取り上げ、真実を叫び続けながら孤軍奮闘してきた福島の政治家がいる。福島県広野町議会議員の阿部憲一氏だ。このたび、阿部氏の東京出張にタイミングを合わせ、筆者はインタビューを申し込んだ。いったい福島と放射能の“真実”はどこにあるのか? そして現状は? 熱血漢の阿部氏は、力強い口調で質問に答えてくれた。
 
■政府による“原発のセールスのための復興”の偽善
――よろしくお願いします。議員として、福島の放射線問題を熱心に追求するその理由を教えてください。
阿部憲一氏(以下、阿部) 私は、福島原発事故の直後から、放射能汚染や被爆の問題を調べてきました。2011年の夏ごろから年末にかけて、私を含めて福島の数多くの市民が軟便や喉の異変などの被爆症状を訴えていたのです。私は事故直後、普段はできない口内炎に珍しくなりました。だいたい放射性テルルが放射性ヨウ素に変化するタイミングですね。
 
 福島に1週間もいればわかることですが、このような状況が現実に起きているにもかかわらず、地元のテレビ・新聞はほとんど放射能問題を取り上げません。たまに早野龍五氏や(物理学者)、坪倉正治氏(東京大学医科学研究所研究員)、開沼博(社会学者)らによる“安全・安心誘導”的な話題を扱う程度です。ですから、多くの住民は現状に慣らされ、「ここに住んでも大した問題にはならない」と考えているんです。そして、いざ放射能問題を取り上げると、「復興妨害」「風評被害を助長」と厳しい言葉を浴びせられる
 
 福島の復興は経済産業省の主導で行われていますが、「高度汚染地域に住民を戻して、地域を発展させる」というのが政府の意向です。あの震災と原発事故の影響で、日本は原発50もの輸出が困難になりました。そこで、それまでは「原発は安全」として売り込みしていたのを、高濃度の汚染地帯に住民を戻して、自分たちの手で除染をさせ、「あんな過酷な事故があっても、ほらこの通り、住民が戻って普通に暮らしていますよ」というセールスに切り替えようとしているのです。国や県はJヴィレッジ()を復興のシンボルにして、その近くにわざわざ新駅までつくり、飯館村(福島県相馬郡)を“モデルルーム”のように位置づけています。これは原発事故の後、IAEAやOECDなどの学者たちによるシンポジウムで意思の統一が図られています。つまり、すべてはアベノミクスの成長戦略の柱に位置づけている原発のセールスのための復興なのです。そして、その手足となって動いているのが地元の一部の町長やNPOだということです。
 
 私は、うちの町が避難者のことを無視して政府の手足のように動いていることに我慢がならず、2015年11月の町議会選挙で何とか滑り込むことができ、それ以来、放射能汚染・被曝・避難の問題に取り組んでいます
 
 震災後、原発事故の前線基地となってしまったサッカーナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」(楢葉町・広野町)を、再び緑のグラウンドに戻し、人々が集いスポーツの喜びを分かち合う場所として再生するプロジェクトが進行中
 
■動植物の奇形が増えている!
――都内在住の私も、あの事故直後にほぼ完治していたはずの喘息の発作が再発しました。ネット上には、福島の高濃度汚染地域にいると(人体で特に柔らかい部分である)耳たぶが溶け始めるというウワサも囁かれているようですが、その真偽はいかがでしょうか? また、被爆による癌の発症率は増加していますか?
阿部 耳が溶けるという話は聞きませんが、動植物の奇形は増えていますね。癌に関しては、実はこれまでと比較して顕著な違いは見られないのですが、心筋梗塞の患者は県のデータで2010年から2011年にかけて10%以上も増加しており、これはやはり被爆の影響ではないでしょうか。
 
■放射能汚染のヤバさをひた隠す日本
――メディアの報道と現地の状況でもっとも乖離している点は何ですか?
阿部 まず、福島原発3号機か4号機の燃料棒が吹き込んだことは事実で、住民の目撃者も多数おります。楢葉町(福島県双葉郡)では、井出川の河口付近で高濃度の放射性物質が見つかっているんです。東電の依頼で、原子力ムラの一味である「日本原子力研究開発機構(JAEA)」がそれを分析した結果がこちらです。物質3は表面のβ線が35.6mSv/h(ミリシーベルト)もあります。同様のものは2016 年にも見つかっています。「報道ステーション」(テレビ朝日)は燃料棒が吹き飛んだ事実を報道していましたが、それ以外のほとんどのメディアは報道しませんでした。
 
 そしてもう一つ、実は放射線量は『平均化』して報道されています。空間線量率(対象とする空間の単位時間当たりの放射線量)の数値が瞬間的に上がっても、原子力規制庁は各「環境放射線モニタリングポスト」から衛星で1分または30秒ごとに送られる数値を10分単位の平均値にして公開しているということです。しかし、各地域に置かれたモニタリングポストの放射線量グラフを見ると、一気に放射線量が上がる瞬間があります。特に福島の東半分では、毎日のようにモニタリングポストの数値が跳ね上がっています。2012年に1mSv/h超えはしょっちゅうでした。原子力規制庁の監視情報課は、その原因について「高濃度のダストへの反応で、吹き溜まりが舞い上がっている」と私には語っており、福島原発からそのまま飛来している可能性も否定していません。
 
 つまり、住民はずっと吸引被爆の危機にいるのです。国は、その“恐ろしい瞬間”を取り上げず、数値はみんな平均化して、「大したことはない」と思わせているようです。「全国サムネイル」という、全国のモニタリングポストが観測した空間線量率の10分ごとの変化を折れ線グラフにして公開していたサイトがあったのですが、2015年5月に閉鎖されてしまいました。
 
――やはり、福島原発事故はまだまだ多くのことが隠蔽されているようですね。よく福島原発事故とチェルノブイリ原発事故が比較されますが、情報公開という側面では、日本のほうが不十分であるという話は事実なのでしょうか?
阿部 日本の状況を「チェルノブイリ法」(チェルノブイリ原発事故から5年後にウクライナで制定された)に当てはめて考えてみると、現在の南東北~関東のかなりの部分が「第1ゾーン」(特別規制地域、立入禁止区域)程度の放射能汚染地域ですよ。
 
 しかし、環境省は住民が1日のうち16時間を遮蔽効果のある屋内に居るものとし、さらにその16時間分の放射線量について木造建築の場合でさえ6割も差し引きますが、ウクライナではこのような差し引きはありません。そのうえ(環境省は)「内部被曝は無視できる」とまで語っています。
 
 また、日本では数値が低くなる地上1mの高さで測定していますが、ヨーロッパでは汚染された地面に線量計を近づけ、地表1cmの高さで測定することになっています。ですから、環境省式の年間追加被曝線量1mSvは、ウクライナやベラルーシなら5mSv相当ほどになりますよ。あちらでは、原発事故から2週間後の1986年5月10日時点を基準値にして第1から第4までゾーン分けをしており、1mSv以上が測定された地域の人々には移住のために経済補償がなされるのに、日本では7年が過ぎてもまだ年間 100 mSvまでは“住める”と言っていることになります。
 
 福島原発事故の放射線放出量は、最初の150 時間だけでも31の放射性核種・同位体で約1138京ベクレル。その中には、キセノンの次に多く出たはずのクリプトン-85(85Kr)も、ウランもトリチウムも含めていませんので、CTBTO(包括的核拡散禁止条約機構)のデータを元にした各国の研究機関の見積もりからしても、実際には少なくともチェルノブイリの放出総量の2倍には達しているのではないでしょうか。
 
■対外防衛的側面からも原発は危険!
――やはり阿部さんは、原発に反対ですか?
阿部 もちろん反対です。原発は人が動かすものだし、東京電力は原発事故の前にも現実の危険性やデータの隠蔽を繰り返してきました。そして対外防衛を考えても原発は極めて危険です。もしも、北朝鮮がミサイルを衛星で誘導する技術を持ち、原発が狙われたら日本は大惨事になるでしょう。そのようなミサイルでなくても、潜水艦で日本海側の原発に近づこうとする国はあるかもしれませんよ。
 
 そして、現在までに3500兆ベクレルほどのトリチウムの汚染水が福島第一原発の敷地内のタンクに溜められており、原子力規制委員会はこれを太平洋に流そうとしています。日々、西の阿武隈山地から流れてくる地下水を汚染水として混ぜ込んで薄めても、放出されるトリチウムの総量は変わりませんから、薄めれば流しても問題ないという話ではないでしょう。それに、地上でも放射能汚染・被爆・移住の問題は解決されていません。原発は廃炉にしても危険だという意見もありますが、燃料棒を安全な施設に搬出し、放射線や放射性物質の漏れがないようにすることで危険性は減らせるのです。
 
――ありがとうございました。最後に読者へのメッセージはありますか?
阿部 現在、政府や地元行政に対する市民の怒りが明らかに足りていません。ぜひとも放射能汚染・被曝の現実や移住の必要性について、拡散していただけましたら幸いです。
 
 あの事故以来、東京に住む筆者の周囲でも、体調の悪化・免疫力の低下を訴える人々が明らかに増え、ヒーリング依頼も増加している。このまま、東日本大震災と福島原発事故を忘れるかのように2020年のオリンピックを迎えることが日本人として正しいことなのだろうか? はなはだ疑問である。
 
阿部憲一
福島県広野町議会議員。福島県いわき市在住。反原発、放射線被爆問題を訴え続ける。現在、日本放射線リスク委員会(仮)設立準備中。
 
深月ユリア
 ポーランドの魔女とアイヌのシャーマンの血をひき、魔女占い師・魔女優・オカルトライター・ホラー映画プロデューサーとして国内外で活動。深月事務所代表、TR総合探偵事務所で心霊捜査担当。最新刊『あなたも霊視ができる本』(文芸社)大好評発売中!
 
 参考:「チェルノブイリ原子力発電所事故等調査報告書(新潟県)」、「原子力安全研究グループ(京都大学)」、ほか