2014年8月19日火曜日

火山監視へ専門家チーム設立 規制委

 原子力規制委は、巨大噴火の危険性を把握した場合の対応や監視活動で噴火の兆候を見極める判断基準を議論する専門家の検討チームを設ける方針を固めました。
 
 九州電力川内原発の規制基準審査では、圏内で過去に巨大噴火した5カ所のカルデラの評価が注目されましたが、九電は5つのカルデラの過去の噴火間隔などから、「運転期間中の巨大噴火の可能性は十分小さい」として、地殻変動の観測などのモニタリングを行い、噴火の可能性がある場合は原子炉停止や核燃料を搬出することとし規制委が了承しました。
 しかし火山学者からは「監視活動で噴火の兆候を把握できるかどうかは疑問」と批判の声が上がっていました
 
 検討チームのメンバーには、火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣東大名誉教授日本火山学会原子力問題対応委員長の石原和弘京大名誉教授、東大地震研究所の中田節也教授などが含まれ、島崎委員長代理は退任する9月以降も東大名誉教授として参加します
 チームは第1段階として、9月をめどに巨大噴火につながるような異常が分かった場合に運転停止命令など規制委が取る対応の基本的な考え方をまとめ中長期的な第2段階は、巨大噴火の兆候を判断するために必要な観測の整理や具体的な判断基準を議論します
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原子力規制委、火山監視へ専門班 25日初会合、川内に反映も
西日本新聞 2014年08月18日 
 原子力規制委員会は、原子力発電所の火山対策の一環で巨大噴火の危険性を把握した場合の対応や監視活動で噴火の兆候を見極める判断基準を議論する専門家の検討チームを設ける方針を固めた。火山が多い日本にある原発の安全評価の信頼を高めるのが狙いで、再稼働の前提となる審査に生かす。審査が最も早く進む九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の対策にも反映される可能性がある。既に人選は終えており、20日の規制委定例会合で正式に了承されれば、25日に初会合を開く。
 
 噴火間隔が数万年単位になることもある巨大噴火については、研究データが乏しく、原発の安全対策でも火山への備えは軽視されてきた。東京電力福島第1原発の事故を受けて策定された新規制基準では地震、津波対策の強化とともに初めて火山対策が盛り込まれ、火砕流が直撃するような場所の立地を禁止した。
 
 川内原発の審査では、規制委が「運転期間中に巨大噴火が起きる可能性は十分に小さい」として、九電が地殻変動などを通して噴火の兆候を観測する対策を妥当とした。だが、兆候を判断する具体的な基準はなく、規制委の対応方針も明示していないため、島崎邦彦委員長代理は4月の審査で、精度を高めるために専門家の意見を仰ぐ必要性を指摘していた。
 
 検討チームは、火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣東大名誉教授をはじめ、日本火山学会原子力問題対応委員長の石原和弘京大名誉教授、東大地震研究所の中田節也教授といった火山学者に加え、火山の研究実績がある防災科学技術研究所(茨城県)などの研究者が入る予定。島崎委員長代理は退任する9月以降も東大名誉教授として参加する。
 
 チームは第1段階として、9月をめどに巨大噴火につながるような異常が分かった場合に運転停止命令など規制委が取る対応の基本的な考え方をまとめる。中長期的な第2段階は、巨大噴火の兆候を判断するために必要な観測の整理や具体的な判断基準を議論する。
 
 議論は、既に基本的設計や大枠の安全対策が新基準を満たしているとした川内原発の「審査書案」には影響しない。ただ、九電は火山対策の細かい内容を、今後審査される「保安規定」か社内文書に定める必要があり、基本的な考え方がまとまれば、それらを踏まえた対応が求められそうだ。