環境省が示した個人被ばく線量に基づく新たな除染方針※について、福島民報社が対象の福島県内40市町村に対して11日までに行ったアンケートで、約半数の19市町村が「住民の理解を得られない」と受け止めていることが分かりました。
空間放射線量「毎時0.23マイクロシーベルト」が除染の目安として浸透しているなどが理由で、「方針変更は混乱を招く」、「国が責任を持って住民に説明すべき」、「国が直接出向いて住民説明会を開くべき」、「放射線の自主管理を任せるのは無責任」などの指摘が出されています。
「どちらでもない」(判断がつかない)と答えたのは16市町村で、「理解を得られる」としたのは須賀川、相馬、伊達、塙、石川の5市町でした。
※ 環境省の個人被曝線量に基づく新除染方針
政府は従来、除染の長期目標として個人の年間「追加」被曝線量を1ミリシーベルトと規定、1時間当たりの換算推計値は0・23マイクロシーベルト(年間被曝量は2ミリシーベルト)と示してきました。
しかし、環境省は1日、福島など4市で行った調査で、空間放射線量が毎時0・3~0・6マイクロシーベルトの地域で住民の追加被曝線量が年間1ミリシーベルトになったと説明し、被曝線量計で実測することを条件に、毎時0・3~0・6マイクロシーベルトを新しい除染の目標とする新方針を示しました。
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半数「理解得られない」 環境省の新除染方針 県内市町村アンケート
福島民報 2014年8月12日
環境省が示した個人被ばく線量に基づく新たな除染方針について、汚染状況重点調査地域に指定されている県内40市町村のうち約半数の19市町村が「住民の理解を得られない」と受け止めている。11日までに行った福島民報社のアンケートで分かった。空間放射線量「毎時0.23マイクロシーベルト」が除染の目安として浸透しているなどの理由が目立ち、「国が責任を持って住民に説明すべき」とする指摘も出た。
アンケートは6日から11日にかけて実施した。個人被ばく線量に基づいた新たな除染方針に、住民理解が得られるかどうか聞いた市町村別の回答は【表】(省略)の通り。
「理解が得られない」とした19市町村からは、「毎時0.23マイクロシーベルトが除染の目安として住民に認識されており、方針変更は混乱を招く」とする意見が出た。方針を転換した国が説明の前面に立つべきだとする声も聞かれた。本宮市は「国が直接出向いて住民説明会を開くべき」と注文。同省が新方針で放射線防護策を講じるよう住民に求めていることに対し、西郷村は「(放射線の)自主管理を任せるのは無責任ではないか」と批判した。
「どちらでもない」との答えが16市町村に上った。個人によって放射線に対する考え方が異なるため、理解が得られるかどうか判断がつかないとした回答が複数あった。三島町は国に対し、「住民の不安をあおらないよう取り組んでほしい」と求めた。
一方、「理解を得られる」としたのは須賀川、相馬、伊達、塙、石川の5市町。「除染の効率化が期待できる」などの意見が目立った。須賀川市は「毎時0.23マイクロシーベルト」について、特定の条件の下で算出した値にすぎないと指摘。個人被ばく線量に基づいた新方針について「より実態に合った考え方」と評価した。