新潟県は26日、東京電力柏崎刈羽原発で重大事故が起きたとき、住民の避難にかかる推計時間を発表しました。
自家用車で逃げることを前提に算出し、半径30キロ圏の全ての住民約49万5千人が圏外に避難し終える時間は標準で18時間、最長で37時間40分と推定しています。
県の担当課長は記者会見で、「推計時間を元に避難時間がさらに短縮できるよう、関係自治体と広域避難の具体策を検討したい」と話しました。
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30キロ圏避難 最長で37時間 柏崎原発事故発生時、県が推計
新潟日報 2014年8月27日
(新潟)県は26日、東京電力柏崎刈羽原発で重大事故が起きたと想定し、住民の避難にかかる推計時間のシミュレーション結果を発表した。自家用車で逃げることを前提に算出し、半径30キロ圏の全ての住民約49万5千人が圏外に避難し終える時間は標準で18時間、最長で37時間40分と推定した。最短では11時間10分だった。県は市町村が作成を進める避難計画に推計時間を活用させたい考えだ。
国の指針では、原発事故時は5キロ圏の住民が即時避難し、5~30キロ圏の住民は屋内退避する。これに対し県の推計は5~30キロ圏の一部住民が5キロ圏住民の避難完了を待たず、自主的に避難することを前提にした。
標準ケースは、平日の日中に避難指示が出され、5~30キロ圏の40%の住民が自主避難した場合で、5キロ圏の全住民約3万1千人が5キロ圏外に避難するのに5時間半、さらに30キロ圏の全住民が30キロ圏外に出るには18時間を要するとした。
これをベースに自主避難者の割合や自家用車の利用状況、イベントの有無、天候条件など7つのシナリオで計26パターンを示した。
全住民が避難し終える所要時間が最長となる37時間40分は、5~30キロ圏で休日に花火などのイベントがあったと想定。5キロ圏でイベントがあった場合も26時間50分かかるとした。
全住民が避難する最短ケースとなる11時間10分は、自家用車を使う割合が60%と最も少ない場合。乗り合いをして圏内の車が少なくなり移動がスムーズになることで時間が短くなった。
地震の被害も想定した。中越沖地震と同規模の通行止めがあり、5キロ圏でイベントがあった場合は全住民の避難に31時間半とした。また、5キロ圏住民の避難車両で最も渋滞するエリアは南へ向かう人が集中する柏崎市街地、5~30キロ圏住民の避難車両で混み合うのは北、北東方面に向かう人が多い長岡市街地とした。
県原子力安全対策課の須貝幸子課長は記者会見で「推計時間を元に避難時間がさらに短縮できるよう関係自治体と広域避難の具体策を検討したい」と話した。