原子力災害対策指針中の福島原発の災害対策に、放射性物質の拡散など事故の事例ごとの具体的な対策が示されず、実用的でないとの指摘が出ているのに対して、規制委は外部専門家らによる検討作業を9月に再開し改定することを決めました。
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福島原発の4号機使用済み核燃料プールからの燃料取り出し作業は、計画より1カ月早く11月中にも完了する見通しです。
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井上環境副大臣は20日、栗原市と加美町、大和町を訪れ、指定廃棄物の最終処分場を絞り込む詳細調査を始める方針を明言しました。
しかし加美町は調査自体に反対の姿勢を崩していません。
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第一原発災害対策見直し 規制委
福島民報 2014年8月21日
原子力規制委員会は原子力災害対策指針に盛り込まれている東京電力福島第一原発の災害対策を見直す。20日の定例会合で、外部専門家らによる検討作業を9月に再開し、現状の課題に応じた内容に改定することを決めた。
改定作業では、廃炉作業を進める中で発生したトラブルや課題に備えた対策を新たに打ち出すとみられる。3号機のがれき撤去に伴い放射性物質を含む粉じんが敷地外まで飛散した問題や、高濃度汚染水がたまる海側トレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)の凍結止水工事の難航、使用済み核燃料プールの冷却停止などへの対応が想定される。放射性物質の新たな飛散などについては、福島第一原発敷地内外でモニタリングポストを増設するなど取り組みが示される見通し。
検討作業は原子力規制委をはじめ、日本原子力研究開発機構(JAEA)、放射線医学総合研究所(放医研)などの専門家で構成するチームが担当する。
20日の定例会合で田中俊一委員長(福島市出身)は「地震や津波への対策は重要。特に敷地外のリスクを抑えることが大切だ」との見解を示した。
第1原発4号機、11月にも燃料取り出し作業完了
福島民友ニュース 2014年8月21日
東京電力福島第1原発の4号機使用済み核燃料プールからの燃料取り出し作業の完了見通しについて東電の広瀬直己社長は20日、計画より1カ月早い11月中にも完了する見通しを県議会全員協議会で明らかにした。
東電は6月までに4号機使用済み核燃料プールにあった燃料1533体のうち、1188体を取り出した。現在はクレーン点検のため作業を中断しているが、取り出しは昨年11月上旬に予定より1週間早く始まり、その後も順調なことから11月中に完了可能と判断した。
作業は9月上旬に再開、変形や破損がある3体を含む345体を取り出す。取り出した燃料は同原発構内で保管するが、搬出先は決まっていない。
その後4号機の廃炉工程は決まっていない。東電は溶け落ちた燃料の取り出しで難航が予想される1~3号機の廃炉作業の進行をみて検討するとしている。
宮城・加美町民「処分場」に反発 副大臣が調査着手明言
東京新聞 2014年8月21日
井上信治環境副大臣は二十日、東京電力福島第一原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場をめぐり、宮城県で候補地となった栗原市と加美町、大和町を訪れ、建設地を絞り込む詳細調査を始める方針を明言した。九月後半にも現地入りする。
国が処分場新設を計画する五県のうち、詳細調査に入るのは初めて。加美町は反対姿勢を崩していないが、井上氏は記者団に「調査と並行して意見のやりとりを続けたい。調査方法も含め、最大限(要望に)応えたい」と述べ、引き続き地元に理解を求める考えを示した。
詳細調査をめぐっては、三市町の足並みがそろうことを条件に栗原市と大和町が容認し、村井嘉浩知事は今月四日、県として受け入れると表明。加美町役場で猪股洋文町長と会談した井上氏は「(村井知事から)受け入れるとの報告を受けた。重く受け止めて詳細調査をしたい」と述べた。
役場の周辺では、多くの住民が横断幕やのぼりを掲げ、反対の声を上げた。猪股氏は「集まっている町民の声は生活を懸けた切実なものと受け止めてほしい」と話した。
大和町の浅野元(はじむ)町長は、地元理解を得るため環境省が住民説明会を開くよう要望。栗原市の佐藤勇市長は、建設候補地の地盤の安全性を調べるため「地質学に明るい専門家の意見を聞いてほしい」と注文を付けた。