福島県・東北・関東・宮崎県などの避難住民の自助組織が、避難者宅を戸別訪問する支援を始めました。避難者の心のケアをすることを目指しています。
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放射線廃棄物を焼却する際に発生する飛灰に高濃度で含まれているセシウムを、効率よく分離回収する技術が開発されました。実用化されれば、福島県内の自治体などで行き詰まっている飛灰処分の促進が期待できます。
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「避難者の孤立」防ごう 住民自助組織が個別訪問開始へ
福島民友ニュース 2014年8月15日
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴い、本県をはじめ東北や関東から宮崎県に避難する住民らでつくる自助組織「うみがめのたまご~3・11ネットワーク」は、避難者が地域になじめずに孤立してしまうことを防ごうと、避難者宅を個別に訪問する支援事業を始める。九州の支援組織では初の試みで、本年度内の開始を目指す。
同組織は2011(平成23)年から、宮崎県各地で交流会などを展開している。震災4年目の現在も経済的に困窮したり、精神的に苦しむ避難者がいることから、悩み相談などの心のケアが急務と考え、訪問事業を企画した。同じ九州の熊本市で今年2月、本県から自主避難していた女性が自殺したことも事業を始めるきっかけになった。
飛灰セシウム大幅減 福島高専などが技術開発
河北新報 2014年8月15日
廃棄物を焼却する際に発生する飛灰から、福島第1原発事故の影響により高濃度で含まれている放射性セシウムを効率よく分離回収する技術を、福島高専(いわき市)と長岡技術科学大(新潟県長岡市)、配管設備製造のカサイ(新潟市)が共同開発した。実用化されれば、福島県内の自治体などで行き詰まっている飛灰処分の促進が期待できるという。
飛灰を高圧の水蒸気で処理してセシウムを水に溶出させる。その水を、研究グループが開発した繊維状の吸着材に通すことで、セシウムを安定した状態で回収する。
グループによると、研究室での実験では飛灰のセシウム濃度が約70%低減した。7月に、1日最大100キロの飛灰を処理できる装置を造り、福島県広野町の企業敷地で実証実験を続けている。いわき市の飛灰を処理した結果、セシウム濃度が最大で約90%下がり、飛灰の容積も20~40%減っているという。
放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレル以下の焼却灰は、自治体などが処分すると定められているが、放射線への懸念から行く先が見つからず、焼却施設などにたまり続けている。
技術の実用化には、大量の飛灰に対応するため、連続的に自動処理できる装置の開発などが課題になる。
福島高専の内田修司教授(物質化学)は「セシウムの濃度が一定レベルより下がれば、飛灰を原発事故前のように、コンクリート原料にリサイクルしたり、埋め立てたりすることも可能になる。実用化されれば、保管が必要な飛灰の量を大幅に減らすことが期待できる」と説明している。
[飛灰]
廃棄物を焼却した際に発生、浮遊し、集じん装置などに付着したばいじん。飛灰にはダイオキシンなどが多く含まれ、埋め立てには固形化などの処理が必要。放射性セシウムは飛灰に濃縮され、水に溶け出しやすいとされる。廃棄物の燃え殻は「主灰」と呼ばれる。