原発再稼働に向けての規制基準適合審査が最も進んでいるといわれている九州電力川内原発において、事故時の避難計画の問題点を明らかにしようと、鹿児島市で24日、学習会が開かれました。
福島原発事故で避難した障害者や、反原発運動のメンバーなど110人が参加しました。
学習会の中で福島から避難したある障害者は、「屋内退避は自活できる人しか不可能。多くの障害者は避難するしか選択肢がない。一方、避難所のほとんどは公民館や体育館で、重度の人の収容は無理」と証言し、ホテルや旅館を避難所に指定するよう提言しました。
また病院や福祉施設のアンケートで、回答した48施設中41施設が「行政の説明を受けていない」と答えていることが報告され、「鹿児島県や市は避難が最も困難な人たちを軽視している」と指摘されました。
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川内原発事故時の弱者対策「不十分」 鹿児島市で反原発団体が学習会
西日本新聞 2014年08月25日
国内原発で最初の再稼働が予想される九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)事故時の避難計画の問題点を明らかにしようと、県内外の反原発団体が24日、鹿児島市で学習会を開いた。福島第1原発事故で避難した障害者や、反原発運動のメンバーなど110人が参加。入院患者や障害者への対応、避難住民の受け入れ態勢が「不十分」と指摘する意見が相次いだ。
福島県田村市で福祉施設を営むNPO理事長で、自らも車いす生活の鈴木絹江さん(63)=現在、京都市に避難=は原発事故後、重度を含む障害者3人と同県内や新潟県の宿泊施設に避難した経験を振り返り「屋内退避は自活できる人しか不可能。多くの障害者は避難するしか選択肢がない。一方、避難所のほとんどは公民館や体育館で、重度の人の収容は無理」と証言、介護に必要な空間を確保できるホテルや旅館を避難所に指定するよう提言した。
川内原発30キロ圏に全域が入る鹿児島県いちき串木野市のデイサービス施設代表江藤卓朗さん(57)は、病院や福祉施設のアンケートで、回答した48施設中41施設が「行政の説明を受けていない」と答えた結果を示し「県や市は避難が最も困難な人たちを軽視している」と批判した。
鹿児島市の「反原発・かごしまネット」の杉原洋さん(64)は「避難者を受け入れる自治体は『生活物資は避難元の自治体が準備する』と言う。あらかじめ備えていないと避難所にならないのでは」と計画の実効性に疑問を投げ掛けた。