2018年7月18日水曜日

18- 日米原子力協定延長 米通告で再処理不能の恐れも

 発効してから30年の期限を迎えた日米原子力協定は17日に自動延長されました。
 同協定は、アメリカが、原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し再利用することなどを日本に認めものですが、今後は、米国からの通告があれば一方的に破棄され再処理ができなくなる不安定な状態となります
 日本は協定の趣旨に反して、核兵器の原料となるプルトニウムを国の内外に47トンも保有するに至りました。このまま推移しても事態は悪化する一方なので、アメリカから協定を破棄されて、プルトニウムの処分の協議に入る方がむしろすっきりします。
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日米原子力協定 延長 米通告で再処理不能恐れ
 東京新聞 2018年7月17日
 日本に原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し再利用することなどを認めた日米原子力協定が、発効から三十年間の期限を迎え、十七日に自動延長された。今後は、米国からの通告があれば一方的に破棄され再処理ができなくなる不安定な状態となる。
 
 日本が保有する大量のプルトニウムを巡り、米国側は懸念を強めており、日本の原子力政策に影響を与える可能性がある。
 
 日本が国内外に保有するプルトニウムは約四十七トンに上り、核兵器約六千発分に相当。核保有国以外では突出して多く、削減が急務となっている。プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使う高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)の廃炉が決まり、国内でプルトニウムを消費する方法は、通常の原発でMOX燃料を燃やすプルサーマルしかないが、原発の再稼働が進まず停滞している。
 
 二〇二一年度の完成を目指す青森県六ケ所村の再処理工場が稼働すれば、新たに年間最大八トンのプルトニウムが取り出され、さらに保有量が増える恐れがある。北朝鮮の非核化に向けた交渉なども背景に、核不拡散の観点から米国が問題視している。
 
 協定の延長によって日本の再処理やウラン濃縮などはこれまで通り認められるが、協定の期限はなくなり、日米いずれかが文書で通告すれば六カ月後に終了できるようになる。
 
 米国側の懸念に配慮する形で、日本の原子力委員会はプルトニウム削減に向け、再処理で取り出すプルトニウムをプルサーマルに必要な量に制限することなどを盛り込んだ新たな指針の検討を進めている。
 
 <日米原子力協定>
   米国は原子力技術を他国に供与する際、核不拡散の観点から関連機器や核物質の扱いを規制している。協定は、日本に核燃料サイクル事業全体に「包括同意」を与える特権的な内容で、日本の原子力政策の基盤。1988年発効で、2018年7月16日に30年の期限を迎えた。日米は協定の延長で合意しているが、今後は、いずれかが文書で通告すると、6カ月後に協定を終了できる状態となった。