福島・飯舘村のADR打ち切り 和解案を東電が拒否
産経新聞 2018.7.9
東京電力福島第1原発事故を巡り、福島県飯舘村の住民約3千人が東電に慰謝料を求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、国の原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を東電が拒否したため、手続きが打ち切られたことが分かった。住民側弁護団が9日、明らかにした。
打ち切りは5日付。住民側は被曝(ひばく)の不安を受けたとして1人当たり300万円を求めていた。センターは住民のうち、一定の被曝があったとみられる145人に東電が、1人当たり15万~50万円を支払う和解案を示していた。
住民側弁護団は「和解案の賠償が少額だったのに、東電は受け入れなかった。二重の憤りを感じる」と批判した。
住民約3千人は、長期間の避難で生じた精神的苦痛に対する慰謝料の増額も求めており、センターによる手続きが続いている。飯舘村は事故で全村避難となり、昨年3月末に帰還困難区域以外の避難指示が解除された。