2018年7月2日月曜日

東電 川村体制1年記者会見 コスト削減は前進と

 東電の川村隆会長は29日、就任1年に合わせて、小早川社長と共に記者会見し「長年の地域独占経営でコスト意識が緩いことを心配した」が、トヨタ自動車流の「カイゼン」に倣った改革で「成果を挙げつつある」と語りました。
 同席した小早川社長は、洋上風力発電などを中心に国内外で600万~700万キロワット規模の開発を進め、再生可能エネルギーだけで、年1000億円程度の利益水準を目指す計画を示しました。 
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見えぬ原発再稼働 川村体制1年、コスト削減は前進
毎日新聞 2018年6月30日
 東京電力ホールディングス(HD)の川村隆会長は29日、就任1年に合わせて東京都内で記者会見し「適切な事業運営を行うための社内意識、基礎体力が積み上がり始めている」と述べ、改革の成果に手応えを示した。だが福島第1原発の汚染水処理や柏崎刈羽原発の再稼働など課題は山積している。経営再建への道のりは険しい。 
 
 日立製作所出身の川村氏は昨年6月、JFEHD出身の数土文夫氏の後を継いで東電HD会長に就任。16兆円に上る廃炉・賠償費用を捻出するため、徹底的なコスト削減や異業種提携による新規事業の開拓など改革を推し進めてきた。 
 川村氏は「重要なのはトップのリーダーシップとともに現場社員の意識」と強調。「長年の地域独占経営でコスト意識が緩いことを心配した」としつつ、トヨタ自動車流の「カイゼン」にならったことで発電所の定期検査を従来の40日から30日に短縮できた実例を挙げ「稼ぐ意識が出始めた」と述べた。 
 同席した小早川智明社長は、6月に福島第2原発全4基の廃炉方針を表明したことに触れ、地元重視の姿勢を強調。洋上風力発電などを中心に国内外で600万~700万キロワット規模の開発を進め、再生可能エネルギーだけで、年1000億円程度の利益水準を目指す計画を示した。 
 
 ただ、収益の抜本的な改善に欠かせない柏崎刈羽原発の再稼働は、地元同意が得られておらず見通せない。福島第1原発で汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ処理水が敷地内のタンクにたまり続けている問題も経営の重荷だ。こうした課題への対応について川村氏は「関係者との折衝を時間をかけながら進めている」と述べるにとどめ、「本当の課題は自由化の下での業界再編など中長期的なところにある」と強調した。【袴田貴行、和田憲二】 .