福島第1原発事故 東電強制起訴公判 防潮堤工程案を「旧経営陣先送り」
毎日新聞 2018年7月12日
東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第20回公判が11日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。原発の土木設備を担当していた東電社員が出廷し、東日本大震災前に防潮堤の工程案を旧経営陣側に示したが、旧経営陣が対策を先送りしたと証言した。
証言によると、社員は2008年6月、社内の別グループが出した第1原発への想定津波の試算結果に基づき、元副社長の武藤栄被告(68)から、防潮堤の設置に必要な許認可などを調べるよう指示を受けた。社員は、原発の東側沖合に高さ20メートル、長さ1.5~2キロの防潮堤を設置することを想定して資料を作成。緊急発注すると最短16カ月後に着工でき、費用は数百億円になるとの概算を武藤元副社長に提出したが、対策は取られなかったという。