第4回「原発と人権」全国研究・市民交流集会inふくしま が28~29日、福島大学で開かれました。
1日目、米倉勉弁護士は、7件の訴訟のうち国の賠償責任について4判決で認定したものの、ふるさと喪失や地域での生活を奪われた損害についてはいずれの判決も認めていないと報告しました。
またいわき市民訴訟原告団長は、原発事故が、住民の間に感情的な対立と亀裂を生み、「日々の生活において、さまざまな制限を自らに課しながら生活せざるを得なくなっている」と報告しました。
2日目は、「福島第一原発の後始末と脱原子力社会への転換」「原発災害と政策転換」「原発事故賠償の課題と展望」「核兵器と原発」「原発政策の転換とメディア」をテーマに各分科会に分かれて議論しました。
最後に「私たちの訴え」を採択して閉会しました。
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原発事故 被害今も 福島 研究・交流集会開く
しんぶん赤旗 2018年7月29日
東京電力福島第1原発事故から7年。国と東電に法的責任を認めさせ、福島の復興政策と原発のない社会に転換しようと、第4回「原発と人権」全国研究・市民交流集会inふくしま(実行委員長=牛山積・早稲田大学名誉教授)が28日、福島大学(福島市)で始まりました。29日まで。
「原発被害者訴訟判決の成果と課題」について報告した米倉勉弁護士は、7件の訴訟のうち国の賠償責任について4判決で認定したことにふれ、「こうした流れは揺るがないものとなっている」と指摘。他方、ふるさと喪失や地域での生活を奪われた損害についてはいずれの判決も認めていないと述べ、国の帰還政策を追認したものだと批判しました。
伊東達也・いわき市民訴訟原告団長は、原発事故が、避難した人、戻った人、避難しなかった人の間や、地元産の農産物を食べるか食べないかで感情的な対立と亀裂を生んだと報告。子どもに生じた問題として、心的抑圧、情緒不安、体力低下、肥満などをあげました。「日々の生活において、さまざまな制限を自らに課しながら生活せざるを得なくなっている」と、今も続く被害を報告しました。
「フクシマは何を問うているのか」をテーマに高橋哲哉・東京大学教授が記念講演を行いました。
原発ない社会めざす 福島 研究・市民交流集会終わる
しんぶん赤旗 2018年7月30日
福島市の福島大学で開いていた第4回「原発と人権」全国研究・市民交流集会inふくしま(実行委員長=牛山積・早稲田大学名誉教授)は29日、五つの分科会に分かれて議論し、「私たちの訴え」を採択して閉会しました。
「訴え」は、「国・東電に、これまでの原発事故対策と原発政策について再検討を求めるとともに、平和で文化的で健康的な生活に資する政策を求めるものです」「事故原因の徹底的な究明、全ての原発についての安全チェック、事故防止対策や放射線被害に関する法制度の整備なども求められています。原発のない社会の方向に根本的に政策転換することが必要です」と訴えています。
横浜市から参加した福島原発神奈川訴訟原告の女性(77)は「県内滞在者も県外避難者も大変な困難の中にいることが参加者の発言を聞いて理解できました。故郷を喪失するということがどんなことなのか、裁判官に分からせる。神奈川訴訟は結審し、来年2月に判決がでます。笑顔が出る判決を期待しています」と話しています。
各分科会では「福島第一原発の後始末と脱原子力社会への転換」「原発災害と政策転換」「原発事故賠償の課題と展望」「核兵器と原発」「原発政策の転換とメディア」をテーマに議論しました。