脱原発で5野党結集 新潟知事選24日告示
東京新聞 2018年5月19日
新潟県の米山隆一前知事の辞職に伴い二十四日に告示される知事選に向け、立憲民主党など野党五党は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に厳しい姿勢を示す脱原発候補の支援で足並みをそろえた。来年の参院選をにらみ模索してきた野党共闘のモデルケースになりそうだ。これに対し、与党は元副知事を擁立。知事選の結果は支持率低迷が続く安倍政権の求心力に影響するとして必勝態勢を敷く。
野党が白羽の矢を立てたのは、原発が立地する同県柏崎市で市議も務めた県議の池田千賀子氏(57)。原発再稼働に関し、県独自の安全性検証の期間を「最低三年」とし、米山氏と同様に慎重な姿勢を打ち出す。池田氏は立憲民主、国民民主、共産、自由、社民の統一候補となる見通しだ。
二年前の前回知事選では、野党第一党だった民進党が自主投票の立場を取り、野党勢力は一致できなかった。
今回の知事選に向けては、結束して安倍政権に対抗する姿勢を優先。前回知事選で地元組織が与党候補の支持に回った連合も、池田氏を推薦する。
ただ、野党が推した米山氏が不祥事で辞めた直後だけに、マイナスからの選挙戦になる。対立関係にある共産党と連合のすみ分けも課題だ。関係者によると、共産党が参加する政治団体と連合が加わる政治団体を別々に立ち上げ、それぞれ池田氏を支援する。今後の国政選挙での野党共闘を占う試金石となる。
一方の与党は、元新潟県副知事で地元に精通する海上保安庁前次長の花角(はなずみ)英世氏(59)を担ぐ。
花角氏は、自民党の二階俊博幹事長が運輸相だった際に秘書官を務めた経験もあり、中央政界とのパイプもアピールできる。自民党は幹部が多数現地入りするほか、元知事の泉田裕彦衆院議員も地元に張り付く。
与党が力を入れるのは、六月十日投開票の知事選結果が最終盤の国会運営に波及しかねないからだ。敗れれば、野党が森友・加計問題などで安倍政権追及を強め、最重要の「働き方」関連法案の成立も不透明になりかねない。逆に勝てば野党の勢いをそぎ、政権はひと息つくことができる。 (山口哲人)