福島原発の汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウム水の物理的及び化学的物性は水と変わらないので、金属イオンを除去する装置「アルプス」などでは除去できません。
福島第一原発では、現在「トリチウム」だけを含む水がおよそ88万トンタンク内に保管されていますが、凍土遮水壁は一応完成したものの完全な遮水が出来ていない(1日100トン以上漏れている)ため、この先も増える一方です。
東電の小早川社長は30日、原子力規制委との面談で、この処理方針について聞かれましたが「(取り扱いを議論している)政府の小委員会の結論を待ちたい」と繰り返し答えるのみでした。
東電も規制委も最終的には海洋に放出するしかないと考えているのですが、漁協組合からの反発が大きいので自分からは口に出せないという事情があります。海洋放流による処分は勿論国際的に認められていません。
完全な遮水壁に作り直せば、少なくともトリチウム水の増加はなくなるのですが、その議論は行われていません。責任問題が伴うからですが、それでは問題は拡大するばかりです。
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原子力規制委 東電を厳しく批判 「責任ある姿と思えない」
NHK NEWS WEB 2018年5月30日
福島第一原子力発電所にたまり続けている放射性物質を含む水の処分方法について、東京電力の小早川社長が国が結論を出すまで待つという姿勢を示したのに対し、原子力規制委員会は「責任ある姿と思えない」と厳しく批判し、速やかに判断するよう求めました。
福島第一原発では、汚染水を処理したあとの水に、取り除くことが難しい「トリチウム」という放射性物質を含む水がおよそ88万トン保管されています。
これについて、原子力規制委員会は、地元の理解を得たうえで、基準以下に薄めて海に放出するのが唯一の方法だとし、東京電力に対して主体的に処分方法を判断するよう求めていて、30日、東京電力の小早川智明社長に見解をただしました。
この中で小早川社長は、現在、国の有識者会議で処分方法が議論されているとしたうえで、「国が責任を持って結論を出すとしているので、私たちはそれを信頼して、結論を待っている」と説明し、理解を求めました。
これに対し規制委員会の更田豊志委員長は、「なぜ他者に判断を委ねようとするのか。判断が国から降ってくるというのは責任ある姿と思えない。トップの在り方として大きな疑問だ」などと厳しく批判し、速やかに判断するよう求めました。
処分方法をめぐっては、国の有識者会議が、ことし夏ごろ開く公聴会での意見を参考に最終的な処分方法を提言するとしています。