玄海原発4号機の再稼働で管内の原発が4基稼働態勢になった九州電力が、1万人を超す全社員に対し、今夏の賞与に合わせて「特別慰労金」を支給しました。
支給の目的は「従業員のこれまでの貢献、努力に報いる」ということで、支給額は特別管理職は7万円、一般社員5万円、キャリア社員3万~5万円で、特別管理職と一般社員には月例賃金の12・44%も合わせて支給し、総額は10億円規模になるとみられます。
一方、九電は原発ゼロの時期に値上げした電気料金は据え置く方針で、消費者側からは企業姿勢を疑問視する声が出ています。
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九州電力
原発再稼働4基態勢で社員に慰労金5万円支給
毎日新聞 2018年6月27日
玄海原発4号機(佐賀県玄海町)の再稼働で管内の原発が4基態勢になった九州電力が、1万人を超す全社員に対し、今夏の賞与(ボーナス)に合わせて「特別慰労金」を支給していた。支給額は一般社員で5万円以上となる。一方、九電は原発ゼロの時期に値上げした電気料金は据え置く方針で、消費者側からは企業姿勢を疑問視する声も出ている。
毎日新聞が入手した社員への配布文書によると、特別慰労金の支給日は6月8日。「4基再稼働を実現できる見通しとなった」ためで、支給目的は「従業員のこれまでの貢献、努力に報いる」などとある。支給額は特別管理職は7万円、一般社員5万円、キャリア社員3万~5万円で、特別管理職と一般社員には月例賃金の12.44%も合わせて支給した。総額は10億円規模になるとみられる。
九電では、2011年の東京電力福島第1原発事故前は原発6基が稼働していたが、事故後はゼロとなった。経営悪化をしのぐため13年夏から一般社員のボーナスを全額カットするなどしてきたが、15年8月の川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)を皮切りに、今月16日には4基目となる玄海原発4号機が再稼働。ボーナスも16年夏に復活している。
一方、九電は13年に値上げした電気料金は据え置く方針。今夏のボーナスは労組との妥結時に公表したが、特別慰労金の支給は明らかにしていなかった。
12年の政府主催の電気料金値上げ公聴会で意見陳述した福岡県久留米市の元生協職員、中村伸一さん(62)は「電気料金の議論がないまま慰労金を非公表で支給したことに腹が立つ。消費者の意見を聞くべきだ」と九電の姿勢を問題視した。
福島の原発事故で福島市から佐賀市に避難している渡辺弘幸さん(55)も「安全対策でまだやれることはあるのに、その前に慰労金を支給する九電は危機感がなさ過ぎるとしか言えない」と話した。
九電は毎日新聞の取材に対し、特別慰労金は電気料金には反映しないと説明したうえで「今回限りの措置だったため、公表しなかった」とした。【関東晋慈、浅川大樹】