南日本新聞 2016年5月22日
九州電力川内原発(薩摩川内市)で、住民避難が必要な重大事故が起きた場合に、地元や周辺自治体が大量輸送手段の一つとして期待を寄せる鉄道。ところが、熊本地震では九州新幹線が脱線したほか、在来線でもレールのゆがみや斜面崩壊が発生するなど鉄路も被害を受けた。専門家からは「避難手段として鉄道の活用は現実的でない」と疑問の声が上がっている。
原発事故で鉄道避難を検討すべきでは、との声が上がったのは川内原発再稼働を控えた約2年前。薩摩川内市の岩切秀雄市長がJR九州社長に対し、新幹線を利用できるよう協力を要請。鹿児島線に3駅があるいちき串木野市も在来線を使えるようJR九州に要望書を提出した。車に比べ大量輸送できるメリットがあるからだ。