河北新報 2016年5月22日
福島県は、東京電力福島第1原発事故後に実施している民有林の環境モニタリング調査の結果をまとめた。2016年3月の平均空間線量率は、調査を始めた11年8月と比べ65%減少し、放射性セシウムの物理的減衰とほぼ同程度の低減傾向を示した。
15年度は前年より37カ所多い1230地点で調査した。空間線量率が最も高かったのは相双地区の毎時2.44マイクロシーベルトで、全観測点の平均線量率は0.46マイクロシーベルト(前年0.56マイクロシーベルト)だった。当初から調査を継続する362地点では、平均線量率が0.91マイクロシーベルトから0.32マイクロシーベルトに下がった。
避難指示解除準備区域内の137カ所の平均値は、県が指針で伐採を可能としている毎時0.5マイクロシーベルトを超える0.89マイクロシーベルトだった。
今回の結果から空間線量率を予測した場合、全観測点の平均は21年3月に毎時0.28マイクロシーベルト、31年3月には毎時0.20マイクロシーベルトまで下がると試算した。
樹木内部のセシウム濃度は、避難指示解除準備区域周辺で採取した杉が最高で1キログラム当たり3400ベクレル。最大値の木材を仮に住宅建築に使用しても年間追加被ばく線量は0.081ミリシーベルトで、利用に支障がないレベルだという。
県森林計画課は「森林内のセシウムは9割以上が落ち葉や土壌に移行している。放射性物質の拡散を抑制するため、間伐などで土壌流出を防ぐことが重要になる」と説明している。